不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

新米町内会

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その⑮

通夜の祭式は曹洞宗である。 修証義の一連の脅し文句が実に嫌味である。 あぁ、気に入らない。 曹洞宗の葬儀次第は葬儀を寺の営業種目として行うように なってから、半ば無理矢理に成立させたものではなかろうか。 式の展開が不自然なのだ。 やはり浄土宗、…

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その⑭

午後6時、司会者による開式のアナウンスで通夜は始ま った。 坊さんが入場してきた。 だが、司会者は寺の名前も坊さんの名前も紹介しない。 この会場では、坊さんの入場時に檀那寺の名前と坊さん の名前をアナウンするのが通例である。 おそらくこの坊さんは…

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その⑬

会場の椅子は通常の半分に減らされており、最後列が ホールの中ほどになっている。 受付のカウンターも入口付近からホールのほぼ中央に 移動されている。 受付には親族と思われる人が立っていた。 通常であればこの受付業務は班の人の担当である。 私達班の…

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その⑫

クルマは会場に着いた。 いつもの会場である。 式の案内の看板が出ている。 この会場の式場は一階と二階がある。 一階が普通サイズの式場で、二階はその4分の一ほど の広さである。 二階の式場は、参列者が少ない式の際に使われること が多い。 今回のSさ…

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その⑪

Nさん宅へ行って相談し、Nさんが通夜に行かれる際に クルマに便乗させて頂くことになった。 「家族葬です」と遺族が断っていても「では、行きません」 というわけにはいかない。 それが地域の付き合いというものである。 このあたりは、全国それぞれの地域で…

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その⑩

Sさんの娘さんが愛犬を連れてきたことで、場の話題 はNさんの亡き愛犬の晩年の闘病の話になった。 ガンの手術費がいくらだった、といったことである。 う~ん、そんなにかかるのか。 「いくらでも出しても良いと思っていた」 そうなんですね。 話をしている…

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その⑨

奥の間ではSさんとKさん夫婦の話し合いが続いている。 班の皆さんはお茶を飲みながら待っている。 漏れ聞こえてくる話し合いの声は「聞いていない、聞こ えていないという設定で」(Nさん談)という姿勢になってい る。 そこへSさんの娘さんが出てきた。 軽…

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その⑧

線香を上げ終わると、皆さんは隣の間に移った。 お茶はいらないと断ったのだが、お茶が出された。 奥の部屋ではSさんの御遺族にKさん夫婦が、通夜・告別 式について話し合いをしているらしい。 御遺族側は家族葬ということで町内会の人の参列を断っ ている。…

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その⑦

私の番になった。 線香に火をつけ、合掌する。 「線香は一人一本だから」 Kさんの旦那さんが唐突にそう言った。 え? どうしてこのタイミングで言うのか? 私が何本も線香に火をつけると思ったのか? まぁ、いいか。 私は宗教心がゼロの無宗教な人間に見られ…

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その⑥

弔問は一戸につき一人の参列となっているもっと多 くても構わない。 KさんとNさんはご夫婦で参加されている。 Nさんの奥さんは遺体横の簡易祭壇で祈った後、Sさ んの枕元に移動した。 そして遺体の顔に自分の顔を近づいて言葉をかけて いる。 通夜・告別式で…

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その⑤

Sさんの遺体の横には小さな折りたたみテーブルの仏 事の簡易祭壇が設けられている。 「線香は一人一本だって。お坊さんがそう言っていた」 Sさんが張りのある声でそう言った。 そんなことを坊さんがわざわざ指示するとは思えない。 Sさんは仏事全般に疎いの…

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その④

どこに連絡したらいいのか、わからない? Sさんの奥さんのその声は家の外にいる班の皆さんにも はっきり聞こえたし、それを超えて遠くにまで響いた。 訃報の連絡をどこにしたらわからないということのようだ。 通夜は今日夜で告別式は明日である。 今頃そん…

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その③

当町内の当班では、故人が出ると集まって弔問する。 普段着で手ぶらである。 人によっては普段着と言っても黒かそれに近い服装の 方もおられる。 キッチリされている方というか常に何事にも配慮を怠ら ない方はそうする。 だが、大半は本当の普段着である。…

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その②

訃報が我が家に知らされたのは今年度の班長のKさん による。 7日朝にKさんご夫婦が我が家に来られたのだ。 訃報の告知は班長の重要な務めであるが、夫婦二人し てというのは珍しい。 と言ってもTSさんの旦那さんが亡くなられた時にもその 年の班長のNさん…

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その①

ご近所のSさんの旦那さんが亡くなられた。 94歳だった。 長らく元気な人だったが、ここ2年程は急に老け込んで いた。 昨年、私は班長を務めており色々な用事でお宅を訪問 することがあった。 大半は奥さんが対応されたが、留守の時には旦那さん が出てこ…

土地の所有者判明。

私は、お隣のNさんと話をしていた。 その中で我が家からも見えるある土地の話題になった。 クルマが10台ほどおける空き地である。 当ブログでも、休日にクルマで何人もの人が集合し雑 草刈りをしていたときの模様を記事にした。 草が繁ると来ては刈ってい…

幟倒しに行った。その⑤

倒された棒から幟を引き抜いていく。 皆で横に並んでずらしていく。 外された幟を畳んでケースに収める。 棒の先端に取付けられた笹の葉を外す。 この笹は、町内会の役員がどこかから入手してきたも のである。 その笹をお隣のNさんが預かり、幟立ての際に取…

幟倒しに行った。その④

私はこうした作業の模様を当ブログに記しているが、そ れは「どうだ、私はこんなにやっている」ということを示す つもりはない。 私の作業に臨む態度には、熱いものはない。 ただ「私も作業に参加しています」ということを他者に知 らしめるためだけのために…

幟倒しに行った。その③

次は、幟倒しである。 皆でぞろぞろと徒歩で移動する。 現場では、クレーン車が待っていた。 クレーン車には作業員が二人乗っている。 そのうちの1人が棒の途中まで登って、ロープを巻き 付ける。 もうひとりがクレーンを操作する。 これらの支払いは町内会…

幟倒しに行った。その②

幟のところに7時57分に着いた。 役員の方がひとりで立っておられる。 「門の方を先にやるそうですので」 そうですか。 私は門の方へ歩き出した。 門の周りには、人が集まっている。 私も早速作業に加わる。 門がゆっくりと倒されていく。 私は倒れつつあ…

幟倒しに行った。その①

お祭りでは、各町内ごとに2本の幟を立てる。 市内のよその町内では一本だけのところもあるようだ が、当町内連合会ではどの町内も2本である。 当町内では班を2つに分け、立てる作業と倒す作業を 一年交代で分担している。 立てる作業は土曜日の朝8時か…

班長の引き継ぎに行った。その②

私は班長の引き継ぎの袋を持ってKさん宅へ伺う。 この曜日、この時間帯ならご在宅だろう。 時にはお留守の時もある。 幸いにもご在宅だった。 私は班長引き継ぎの袋を手渡す。 Kさんは、袋の中身を改める。 私はそれを眺めている。 実は私はこの袋を前任者…

班長の引き継ぎに行った。その①

これは少し前のことだが、一応記しておく。 私は町内会の班長の引き継ぎにお隣のKさん宅へ行 った。 班長に引き継がれる書類や道具「7つ道具」が入った 袋を持っていく。 大きめのエコバッグくらいの大きさである。 7つ道具と言っても特別なものではない…

町内会班長としての一年を振り返る。

ブログの連載が続くうちに2月は終わっていた。 当町内会に新年度は3月スタートである。 これは4月上旬にお祭りがあるためであろう。 お祭りまでに一ヶ月をおき、その間に引き継ぎや準 備をするためである。 さて、私の班長を務めたこの1年間はどうだった…

役員反省・慰労会に行った。その㉓

慰労会もお開きの時間となった。 少し緊迫する場面もあったが、揉め事になることもなか った。 爆弾を不発に終わらせる対処の仕方を実地で見学する ことが出来た。 自分が直接関わっていないので呑気なものだが、自分 も当事者の一人だったらどうなるだろう…

役員反省・慰労会に行った。その㉒

SHさんの宣言により宴としてのムードの最大熱量は 幾分抑えられた感はあるが、全体的にはいつもとそれ ほど変わらない様子の会となった。 私はこうした町内の会への出席数が特に多いわけで はないが、(まぁこんなものだろう)という空気は感じら れた。 …

役員反省・慰労会に行った。その㉑

SHさんによる意を決しての宣言は、皆に受け流され た。 無視されたわけではない。 発言に反応することにより炎上してしまうことを避け たのである。 真面目な人ほど爆発しやすい。 真面目な人は可燃性なのだ。 爆発までの時間が短い。 一方、不まじめな人…

役員反省・慰労会に行った。その⑳

SHさんの「役員もうやらない発言」は、会長さんたち が受け流したため大きなインパクトは与えられなかった。 受け流す、スルーする、これも対人関係における必 須の技であろう。 人が感情の爆発を起こした場合、周囲の受け手の対 応によっては大きな揉め事…

役員反省・慰労会に行った。その⑲

SHさんによる「もう町内の役はやらない」宣言は、 不完全燃焼に終わった。 聞かされる方が無反応、いわゆるスルーをしたた めである。 「えぇ~、そんなこと言わないで」「まぁ、ここは穏便 に」といった言葉はかからなかった。 SHさんは皆のそうした反…

役員反省・慰労会に行った。その⑱

SHさんが場を外した。 すると、執行部役員の一人がこう言った。 「会長さんには言わないんですね、そういうこと」 そういうこととは、「新入りのくせに」と言った暴言である。 会長さんも戦後に引っ越してきた方なので新入りと言え よう。 当地では三〇年…