線香に火をつけ、合掌する。
「線香は一人一本だから」
Kさんの旦那さんが唐突にそう言った。
え?
どうしてこのタイミングで言うのか?
私が何本も線香に火をつけると思ったのか?
まぁ、いいか。
私は宗教心がゼロの無宗教な人間に見られることが多い。
作法に関しても無知だと見られている。
どうもそう見えるらしいのだ。
これは実に愉快なことである。
ちょっと笑ってしまう。
外見は内面を反映しないらしい。
そのため私に向かて宗教的な説教、解説をしてくる人もた
くさんいる。
言ってくる人の動機は様々である。
親切心からであったり、おせっかいだったりである。
あるいは自分が宗教について知っているので語りたい欲
求に駆られていることもある。
頼みもしないのに宗教についてべらべら喋ってくる人間は、
大体が宗教について初心者であるか無知である。
自分のエゴ・高慢心が宗教を語りたがるのである。
語ると自分が偉くなったような気がするらしい。
これはインターネットの世界でも同様である。
語りたがる人ほど、そのことについて知らないのである。
~続く~