二日前の夜6時過ぎ、私はパソコンをしていた。
モニターの前を何か通り過ぎた。
何だ?
私は周りを見渡してみたが、何もいな。
再びモニターに目をやる。
すると、私の顔面に向かって飛んでくるものがい
る。
蚊だ。
今頃、出てくるとは。
もうとっくにお前らの季節は終わったのでないのか?
そう言えば4~5日前にも蚊が一匹、室内を飛んで
いた。
その時は蚊とり線香を焚いた。
あの時、昇天したのではなかったのか。
それとも、お前は違う蚊か?
顔が同じなので区別がつかない。
えぇ~い、どちらでも良い。
この手で成敗してくれようぞ。
私は蚊を目で追う。
この時期の蚊は気温の低下に伴い、動きは鈍い。
夏の2倍ほどの速さであろう。
私は顔の前で手を打ち合わせた。
見たか、真剣白刃取り!
私は両の手のひらを見た。
蚊は右の手に貼り付いていた。
即死のようだ。
こんな涼しくなってから出てくるとは哀れな奴め。
だが、それもお前の宿命だったのだろう。
それにしても、もう10月も終わりである。
まだ生きている蚊がいるとは、しぶといものである。
これでは、まだ蚊とり線香はしまえそうにない。
もうすっかり秋である。