不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

腕時計の電池を替えに行った。その⑥

 私は門前町にある時計店で腕時計の電池を替えて
もらうことにした。
 どんな店なのだろうか?
 私は特別良い対応を求めてはいない。
 ただお客を見下すような発言、態度は慎んでほしい。
 私が行く店は今までそんな店ばかりだった。
 当地は威張る時計店が多い土地柄なのか。
 私は店に着き自転車を店の前に置いた。
 店内には60歳くらいの女性がすぐ入り口付近に立っ
ているのが見える。
 店の人だろう。
 上下黒のスーツである。
 随分かしこまった服装である。
 見ると時計の他に、眼鏡や宝飾品も扱っているよう
だ。
 自動ドアが左右に開き店に入る。
「いらっしゃいませ」とその女性が声をかけてきた。
 その声は見かけとは違い、明るく庶民的な感じであ
る。
 あれ、随分感じが違うな。
 私はその女性に腕時計の電池の入れ替えを頼みた
い旨を告げた。
 すると、女性は私にトレーを差し出した。
 これに載せろ、ということか。
 これがこの店の様式なのか。
 丁寧な感じがする。
 それから少し待つことになる。
 私は店内の腕時計や置き時計を眺めた。 
 この店はシチズンセイコー、カシオといった国産メー
カーが品揃えの主体のようだ。
 輸入時計は、殆ど扱っていないようだ。
 電池の入れ替えをしているのは、60代くらいの男性
である。
 この人がこの店の主人で、女性は奥さんだろうか。
 店の中からは前の通りを参拝客が歩いているのが
見える。
 店の中はBGMが小さな音で流されている。
 「ハイ、お待たせしました。出来ました」
 その音楽をかき消すような大きな声が店内に響いた。
 店の主人らしき男性の声である。
 私は男性から時計を受けとった。
 男性はにこやかな笑顔である。
 おぉ、今までの店とは随分印象が違うな。
 つんけんしたところは微塵も無い。
 接客姿勢全体が明るく感じが良い。
 へぇ~、こんな時計店が当地にもあったのか。
 この日以降、私はこの門前町の時計店を利用してい
る。
 家からほんの少し遠いが、それを差し引いてあまりあ
る。
 良いお店が見つかって幸運である。