#祭りと伝統
当地のお祭りは、今年も雨だった。 小雨ではあったが、二日とも降った。 もう何十年もずっと当地では「お祭り=雨」である。 金曜日まで快晴続きでも、土曜日には一転降り始 める。 そして、お祭りが終わった翌月曜日には晴れる。 何故、当地のお祭りには雨…
私たちの割り当て時間は3時までである。 時計を見る。 残りあと5分だ。 途中何度もおしゃべりを交えたので、多少気をつ かったものの退屈しなかった。 こう言うときにおしゃべりは、なかなか有効である。 道具も要らず、お金もかからない。 話す内容に注意し…
INさんによる身辺調査的な問いかけは、ひとしきり 続いたが、それも終わった。 おそらく飽きたのだろう。 きっちり答えるが、その内容は当たり障りのないも のにとどめておく。 特別なトピックを提供するわけでもない。 一方的に私が聞かれる側だった。 こう…
小雨は降り続ける。 幹線道路の歩道にINさんと私は立っている。 時折INさんが話しかけてくる。 「お父さんが亡くなって何年になる?」 「お母さんが亡くなって何年になる?」 私の両親とINさんとは世代がほぼ同じであったこ となどから、親しかった。 他にも…
INさんは、町内会のベテランである。 要職は殆ど務めてこられてきた。 そのINさんにして、この裏表の使い分けである。 これが当たり前なのか? それともINさんだけなのか? 私が内心で(町内会活動に対してやる気が起こら ないなぁ)と思ったとしても、特別…
INさんは、こう言った。 「俺たちには何も権限がない。クルマを止めたりな んてできないよ」 えぇ~、そういうことなのか!? それでは、私の本音と少しも違わないではないか。 INさんは、こう付け加えた。 「自分たちに事故が無いようにすればいいんだよ」 …
小雨降る日曜日の午後1時過ぎ、私は傘を差して 歩く。 集会所の前の路地を少し行くと、通りに出る。 いつもの町並みが、雨に濡れて少し光って見える。 普段は自転車で通りすぎる景色が、ゆっくり変わっ ていく。 桜並木が見えてきた。 この雨にも何とか持ち…
リーダーのINさんはメンバーに白の軍手を配り始め た。 手のひらの部分に黄色の滑り止めの突起が付いて いる。 「軍手は、返さなくていいです。ジャンバーは、戻っ てきたら返してください」 へぇ~、貰えるのか。 気前が良いなぁ。 あるいはこれが今日の日…
集合時刻は午後1時である。 遅れないように準備をする。 前の集まりで指示された通り地図のプリントも忘れ ずに持っていかなければならない。 あぁ、こんなふうに気をつかうのも、僅かながら心理 的な負担である。 外は小雨が降っている。 私は傘を差して家…
当ブログでは、一部の例外を除いて他者への批判、 悪口の類は極力控えている。 その例外とは、天候についてと町内会についてで ある。 「天候に対してガタガタ言ったって、どうしようもない ではないか(苦笑)」と言われるかもしれない。 それが普通の感覚…
今朝も朝6時から号砲が鳴っている。 お祭りの花火である。 当地とその周辺の町では3月下旬から、毎週どこか でお祭りが行われている。 これは5月のゴールデン・ウィークまで続く。 今は当地はお祭り月間なのである。 お祭りといえば、気になるのは天候である…
私たちが任されたお祭りの片づけは、これで終わ りである。 氏神様の周辺では、他の町内の方々が片づけを している。 やはり、お祭りの道具類は氏神様のいずれかの 場所に収納するのであろう。 同じ町内連合会でも、町内会が異なるので特に 声をかけることは…
お祭りの道具は町内の各所に分散してしまわれ ている。 これは、火災や盗難など万が一の際を考慮しての ことだと思われる。 一カ所では一回のアクシデントですべてを失う可能 性がある。 リスク分散を考えて収納場所をいくつも用意してい るのだろう。 当町…
幟は倒され棒から抜き取られた。 次はこの棒をクレーン車に載せる。 皆で棒を持ち上げる。 うーん、なかなか重いなぁ。 私はこの作業参加者の中では若手に入る。 今回は特に平均年齢が高いようだ。 こういう時にこそ力を出さねばなるまい。 それに、今までほ…
幟の棒が倒された。 皆で幟の横に並び幟を外す作業に取りかかる。 横に少しずつずらしていき、抜くのである。 これなら私にでもできる。 幟は棒から抜けた。 次にもう一方の幟も倒される。 そして幟が抜かれる。 この幟はお祭り終了後、どなたかが洗濯とかを…
お祭りの門の片づけが終わると、次は幟の片づけ である。 皆で幟が立てられている場所に歩いていく。 お祭りの門とはちょうど反対の方向である。 公民館からは、ゆっくり歩いて5分ほどである。 その幟は高さ20メートルくらいのものである。 白地に墨書で現在…
お祭りの門は、順調に分解されていった。 前回、つまり一昨年の分解はもっと時間がかかっ たと記憶している。 片づけに参加しているのがベテランでお祭りに熱 心な方が多かったからだと思われる。 手筈を熟知していれば作業もはかどる。 特別難しい複雑な工…
お祭りの門の屋根が外された。 その直後に門の両脇に付けられていた飾りの彫刻 も外された。 彫刻といっても特に由来のあるものではなさそうだ。 手彫りではあるが、有名作家作品といったものでは ないだろう。 彫刻を取り外した人の様子が、それほどの品で…
まずお祭りの門の屋根を外す。 屋根は部品の組み合わせと一部を針金で縛って固 定してあるらしい。 「らしい」というのは、理由がある。 私は、直接この作業には参加していない。 皆の後ろで見ているだけだからである。 「やらせてくれない」というわけでは…
お祭りの門の解体が始まった。 まず門を倒した際に、それを受ける台を設置する。 台の高さは1メートルほどである。 門を直接地面に倒して横たえると、門が汚れたり 破損する可能性がある。 それを防ぐためである。 また、地面に接触させないことで屋根や彫…
今週末も当地の周辺ではお祭りが行われている。 3月末から5月のゴールデンウィークまで週末は 何処かでお祭りである。 揚げられている花火の音が聞こえてくる。 隣の町のお祭りの花火である。 隣町の花火は派手で音も大きい。 振動で家のガラスがビリビリと…
朝8時、雨も風も翌日曜日の朝には完全に止んで いた。 灰色の雲の隙間からは青空も見える。 家の前の道には何か話しながら歩いていく人達が いる。 ご近所のKさん御夫婦だ。 方向からすると、幟の様子を見に行かれるに違いな い。 それも無理はない。 あれ…
幟立てのクレーン車は既に待機していた。 このクレーン車の都合で今日立てる、というのが 強行の理由となっている。 おそらく、明日は日曜日で会社が休業日でクレー ンの操縦者も休みなのだろう。 そのようなことなら会社に掛け合えば、何とかなり そうなも…
屋形の次は幟立てである。 本当にやるのか? 皆さん、現場へ歩いていく。 大風が数時間後には来ることがわかりきっている のに、何故立てるのか? これには、お祭り特有の愚かな集団心理が働い ているようだ。 蛮勇気取りである。 「台風並の天候だろうと俺…
役員は着くとすぐにこう言った。 「予定通り幟を立てます」 えぇ~、やるの? こんな天気だよ。 口には出さずとも皆がそう思っているようだっ た。 役員の一人がこう付け加えた。 「クレーン車が明日は来れないもんだから」 クレーン車の都合で幟立てを強行…
役員たちが帰ってくるまでは待機するしかない。 この状況なら明日に延期なるだろう、それが常 識だ、そんな空気になっていた。 難しい判断ではなかろう。 大風が吹くか吹かないかは5分5分ではない。 台風並みに風が吹くことはまず間違いないこと だった。 私…
集まった人達の皆が口々に「今日の幟立ては止 めた方良い」と言い出した。 日本気象協会は不要不急の外出を控える呼びか けを出している。 呼びかけとなっているが、これは事実上の警告で ある。 他にも多くの公的機関も同様の呼びかけを出して いる。 交通…
準備の開始時刻は朝8時から集合場所は集会所 である。 私は5分前に着くように家を出た。 道すがら数人のご近所さんと一緒になった。 「今日は天候が危ないらしいね」 「不要不急の外出は避けてくれとテレビでは言って るね」 「大丈夫か?今日は」 各メディ…
禰宜さんの○さんはお供え物が揃っているのを 確認すると駐車場に向かった。 そしてすぐに戻ってきた。 履物を履き替えている。 草履から沓(くつ)に履き替えてたのだ。 これは正しくは浅沓(あさぐつ)と言うらしい。 普通の靴は革であるが、これは木靴であ…
開始時刻の3時が近付いてきた。 皆さんが集会所を出て秋葉様の前に向かう。 町内会の役員が三方に載せたお供え物を持って 行く。 お餅、大根などが載っているのが見える。 お餅は鏡餅のように円盤状の餅で重ねてある。 お正月に続いてまたもや鏡餅の登場であ…