キシット・ドミヌス”がかかった。
ある。
一般に宗教曲はしんみりした曲調の作品が多い。
世に生きる嘆きや神への祈願を歌詞にしているので、
自然とそうなりやすいのだろう。
だが、このディキシット・ドミヌスは違う。
とにかく威勢がよいのだ。
これが宗教曲か?!というほど元気一杯である。
知らずに聞いていたら、とてもではないが宗教曲には
聞こえない。
戦の戦意高揚のための曲か?と思っても不思議では
ない。
作品は小編成の弦楽合奏と合唱団によって構成され
ている。
弦楽合奏により曲は始まる。
この時からすでにただならぬ熱気がある。
いきなり弾きまくりである。
そこへ合唱が入ってくる。
最初からトップスピードである。
合奏も負けじと応える。
曲の後半に(あぁ宗教曲だな)というようなしっとりとし
た部分もあるにはある。
しかしそれも束の間、すぐに猛烈な合唱に戻ってしまう。
何かやけくそのなっているかのような熱唱である。
私が聴いたのは、マーカス・グリード指揮のベルリン古
楽アカデミーとベルリン・ヴォーカル・コンソートの盤だった。
ハルモニア・ムンディの人気盤のようだ。
宗教曲としては異色なディキシット・ドミヌスである。
実は私はこの曲が好きである。
聴いていると元気が出てくる。
終始前進あるのみといった曲調で景気づけになる。
さすがヘンデルの曲である。
偉大である。
この演奏はミシェル・コルボ指揮のアンサンブル・
ローザンヌのものである。
やはり熱演となっている。