先日のいつもの集いでのNZさんは、普段とは別人のような快活な様子だった。
言葉遣いや態度に切れがある。
いつもの「重い認知症のNZさん」ではなかった。
その理由は明白だった。
息子夫婦が帰省しており、その嫁といっしょに集いに参加している。
NZさんの中の何らかのスイッチが入っているのだろう。
こうした状態のNZさんは、以前もあった。
過去の赴任先の友人が当地を訪ねて来た時も、同様だった。
いつもと異なる対人関係を持っている際には、その人に良いところを見せようとしているのか?
単に新鮮な刺激が、意識の覚醒を齎しているのか?
重い認知症でも、条件によっては好転するようだ。
いつもとまるで様子が違うNZを見ると(あぁ、この人の息子なら、名門企業の重役になったり、旧帝大系の大学の准教授になるだろうな)と納得できた。
だが、残念なことに、この良好な状態のNZさんは、来訪者が滞在している期間だけである。
彼らが帰ると、また元通りになってしまう。
スイッチが切れるのか?
エネルギーが切れるのか?
認知症は厳しい病気である。