不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その⑬

 会場の椅子は通常の半分に減らされており、最後列が
ホールの中ほどになっている。
 受付のカウンターも入口付近からホールのほぼ中央に
移動されている。
 受付には親族と思われる人が立っていた。
 通常であればこの受付業務は班の人の担当である。
 私達班の人間にしてみれば責任も無く楽で良いが、拍
子抜けのような感覚にもなる。
 席に座って開式を待つ。
 親族は十人ほどである。
 神戸から来た娘さんの家族と地元に住んでいる息子さ
んの家族であろう。
 知人席には私達班の人以外には、7~8人ほどの参列
者がいる。
 よほど親しい方々なのであろう。
 家族葬だと、そうした知人も呼ばないことが多い。
 なんだ。
 結構参列するではないか。
 普通の通夜・告別式では少ない人数だが、家族葬として
は大人数であろう。
 どことなく、ちぐはぐだな。
 Sさんサイドでも統制が取れていないのか?
 意志の統一が図れていないようだ。
 弔問の時に聞こえてきた「誰に連絡したら良いのか、わ
からない」というSさんの大声が思い出された。
 いろいろとあったんだろうな。
 通夜・告別式で混乱は珍しくはない。
 そのSさんは、遺族席の最前列で静かに座っている。

  ~続く~