ホールの中ほどになっている。
受付のカウンターも入口付近からホールのほぼ中央に
移動されている。
受付には親族と思われる人が立っていた。
通常であればこの受付業務は班の人の担当である。
私達班の人間にしてみれば責任も無く楽で良いが、拍
子抜けのような感覚にもなる。
席に座って開式を待つ。
親族は十人ほどである。
神戸から来た娘さんの家族と地元に住んでいる息子さ
んの家族であろう。
知人席には私達班の人以外には、7~8人ほどの参列
者がいる。
よほど親しい方々なのであろう。
家族葬だと、そうした知人も呼ばないことが多い。
なんだ。
結構参列するではないか。
普通の通夜・告別式では少ない人数だが、家族葬として
は大人数であろう。
どことなく、ちぐはぐだな。
Sさんサイドでも統制が取れていないのか?
意志の統一が図れていないようだ。
弔問の時に聞こえてきた「誰に連絡したら良いのか、わ
からない」というSさんの大声が思い出された。
いろいろとあったんだろうな。
通夜・告別式で混乱は珍しくはない。
そのSさんは、遺族席の最前列で静かに座っている。
~続く~