不二家憩希のブログ

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Sさんの旦那さんが亡くなられた。その⑭

 午後6時、司会者による開式のアナウンスで通夜は始ま
った
 坊さんが入場してきた。
 だが、司会者は寺の名前も坊さんの名前も紹介しない。
 この会場では、坊さんの入場時に檀那寺の名前と坊さん
の名前をアナウンするのが通例である。
 おそらくこの坊さんは、ここの葬祭業者の紹介なのだろう。
 檀那寺を持たない遺族に、坊さんを斡旋・紹介するサービ
スである。
 Sさん宅もそうなのか。
 それで弔問の時に「線香は一本だって」と言ったのか。
  斡旋・紹介されて来訪した坊さんにいろいろ尋ねて初めて
知ったことを、(皆も知らないのだろう)と思って教えようとし
たのだろう。
 Sさんは仏事に疎く、知ったかぶりをしたかったのだろう。
 それにしてはSさんは、他の人の葬儀の際にいろいろと仏
事の作法を人に講釈していたなぁ。
 あれも知ったかぶりだったのか。
 道理で実を伴わない空虚な感じがしたのか。
 知らない人ほど、いろいろと能書きを垂れたがるものである。
 Sさんも90歳過ぎである。
 その年までこうした生き方をしてきたのか。
 そんな人は多いのかもしれない。
 私も気をつけようと思う。

 ~続く~