すると、執行部役員の一人がこう言った。
「会長さんには言わないんですね、そういうこと」
そういうこととは、「新入りのくせに」と言った暴言である。
会長さんも戦後に引っ越してきた方なので新入りと言え
よう。
当地では三〇年住んでいても、新入り扱いする人が少
なからずいる。
「会長さんみたいに強い人には言わないんだよね」
別の役員がそう言った。
あぁ、そうだねぇ、と納得の声が上がる。
それを会長さんは黙って聞いている。
イジメは予め対象となる者が抵抗してこないことを見越
して行われる。
会長さんをイジメるような人はいないだろう。
仮にイジメようとしても、逆に何倍にもされて返されてし
まうことあろう。
大人の世界にもイジメはある。
それが町内会という狭い範囲の中でも行われたのであ
る。
こうした場合、どうすれば良いのだろう?
私だったら徹底的に戦う。
相手に生涯後悔が残るほど反撃する。
実際そうした。
その時はイジメではなかったが、よろしくないことをされ
たので注意を促す意味でも強い行動に出た。
おかげで私は一部では「怖い人」という評判もあるようだ。
それはそれで面白いと思っている。
ハリネズミの針は飾りではないのである。
~続く~