不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その④

 どこに連絡したらいいのか、わからない?
 Sさんの奥さんのその声は家の外にいる班の皆さんにも
はっきり聞こえたし、それを超えて遠くにまで響いた。
 訃報の連絡をどこにしたらわからないということのようだ。
 通夜は今日夜で告別式は明日である。
 今頃そんな事を言っているのか?
 親戚、知人には連絡していないのか?
 これって聞いて良かったのか?
 こういう時には聞いてないふりをするのが大人のマナー
である。
 私はそう思ったし、他の皆さんもそうしているようだった。
 何かとすぐに口に出してしまうTSさんですら黙っている。
 他の用事なら出直すところだが、今回は弔問である。
 大勢の人間が外で待っているわけにもいかない。
 ゆっくりとSさん宅へ入る。
 玄関の間でSさんが出迎えてくれた。
 「お茶を出して!」
 Sさんは親戚の誰かに指示を出す。
 本当はお茶どころではないのだろうが、まずはそういう対
応するというのが日本のお約束なのであろう。
 お茶を断りながら皆は座敷に上がった。

 ~続く~