はNさんの亡き愛犬の晩年の闘病の話になった。
ガンの手術費がいくらだった、といったことである。
う~ん、そんなにかかるのか。
「いくらでも出しても良いと思っていた」
そうなんですね。
話をしていると奥からSさんの息子さんが挨拶に出て
きた。
息子さんが来るということは話し合いも目処が付いた
のか?
その場の人達に「お父さんによく似ている」と評されて
照れている。
顔は亡くなったSさんによく似ているが、父上よりもずっ
と甘い感じの顔立ちである。
それから少ししてKさん夫婦が奥から出てこられて、そ
ろそろ御暇ということになった。
結論は出たのか?
家を出たら話があるのか?
Sさんの家の前で皆が集う。
だが、Kさんから特に話はなかった。
え、え、え?
何も無いの?
では、今日の通夜や明日の告別式はどうなるの?
どうしようか?
こういう時に余計なことを口にしない方が良さそうだ。
ここは、日本人の得意技を使うしかない。
忖度である。
わからなくても、わかったふりをしてその場を収める。
皆さん黙って解散する。
私は自宅に戻って考えてみたが、何が正解なのか判断
がつかない。
しばらくしたらNさんに聞いてみることにしよう。
~続く~