不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

Sさんの旦那さんが亡くなられた。その⑩

 Sさんの娘さんが愛犬を連れてきたことで、場の話題
はNさんの亡き愛犬の晩年の闘病の話になった。
 ガンの手術費がいくらだった、といったことである。
 う~ん、そんなにかかるのか。
 「いくらでも出しても良いと思っていた」
 そうなんですね。
 話をしていると奥からSさんの息子さんが挨拶に出て
きた。
 息子さんが来るということは話し合いも目処が付いた
のか?
 その場の人達に「お父さんによく似ている」と評されて
照れている。
 顔は亡くなったSさんによく似ているが、父上よりもずっ
と甘い感じの顔立ちである。
 それから少ししてKさん夫婦が奥から出てこられて、そ
ろそろ御暇ということになった。
 結論は出たのか?
 家を出たら話があるのか?
 Sさんの家の前で皆が集う。
 だが、Kさんから特に話はなかった。
 え、え、え?
 何も無いの?
 では、今日の通夜や明日の告別式はどうなるの?
 どうしようか?
 こういう時に余計なことを口にしない方が良さそうだ。
 ここは、日本人の得意技を使うしかない。
 忖度である。
 わからなくても、わかったふりをしてその場を収める。
 皆さん黙って解散する。
 私は自宅に戻って考えてみたが、何が正解なのか判断
がつかない。
 しばらくしたらNさんに聞いてみることにしよう。

 ~続く~