ワ〇ミの配達の女性が去った後、私は改めてTAさん
のお宅の玄関に立った。
TMさんに町内会費の集金に来た旨を告げる。
「おいくらでしたかね?」
私は金額と今年から向こう3年間値上げされているこ
と説明した。
値上げの件は周知事項ではあるのだが、一応付け加
えた。
「ちょっと待ってね」
TMさんは一度奥に引き返し、封筒を持ってこられた。
そこから町内会費分の金額を私に渡した。
私は一応数える。
あれ?
千円札が一枚多いな。
「千円多いですね」
私がそう言うと、TMさんはひょいと手を伸ばして私の
手にある千円札一枚を引き抜いた。
カンフー俳優のような手さばきである。
その手の素早い動きに私はちょっと笑いそうになった。
私は時候の挨拶をして、すぐに家を出た。
余計な事情には首を突っ込まない。
これが私のご近所付き合いの基本方針である。
さて、これで早くも2件集金できたことになる。
2軒分を受け取ったので、そろそろお釣りも出そうである。
なかなか良い出だしである。
~続く~