94歳だった。
長らく元気な人だったが、ここ2年程は急に老け込んで
いた。
昨年、私は班長を務めており色々な用事でお宅を訪問
することがあった。
大半は奥さんが対応されたが、留守の時には旦那さん
が出てこられた。
その時に這って玄関の間に来られた。
私は内心(えぇ~!)と思ったが、何もないかのように
振る舞った。
寝たきりということでもないようだが、足腰の衰えは激し
かった。
庭先で見かけることも無くなっていた。
奥さんは、町内の他の方が亡くなられ通夜・告別式に出
られた際に「次はうち(の旦那)だ」といつも言っていた。
そう言われると言われた人は「そんなことありませんよ」
と返すしか無い。
だが、多くの人は内心では(そうかもなぁ)と感じていたこ
とであろう。
訃報が班内の各戸に伝えられたのは、死去の2日後だ
った。
5日の朝に亡くなったのだが、伝えられたのは7日の朝だ
った。
これは、当班では極めて異例のことである。
当班では昔から、人が亡くなったらすぐに班に報告する習
わしである。
以降の通夜・告別式でのお手伝い等の都合もあるからだ。
班長宅まで連絡しなくとも、隣家に言えばそこからすぐに班
長に連絡が行くことになっている。
これは長らくこの班内では当たり前になっていることである。
それをSさんが知らなかったわけはない。
どうなっているのだろうか?
~続く~