不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

認知症患者は病識ゼロ。

 私はいつもの集いに行くようになってから、何人もの認知症の方と知り合いになった。 

 私のそれ以前の認知症についての認識は、極めて貧弱だった。

「物覚えが悪くなる」「記憶が抜け落ちる」といったことは知っていたが、それ以外のことはあまり知らなかった。

 私が文字や伝聞で知った認知症の症状は、その概要でしかなかった。

 実際に接してみて初めて知るという事柄はいくつもあった。

 その中で最も大きな点は「認知症の人は、その病識がゼロである」ということである。

 これは私がまるで想定していないことだった。

 「あらゆる病気には、当人には病識がある」というのが私の認識だった。

 病気になる⇒当人は辛い⇒当然病識はある⇒辛い思いを持って生きる、というのが私にとっての罹患についての知識だった。

 だが、認知症の人には病識がない。

 「自分が認知症だ」とは少しも思っていない。

 「最近、物覚えが少し悪くなったり、頭の回転が遅くなったかも?」程度には思っているが、病気だとは思っていない。

 「これくらいなら誰にでもあることだ」と思っている。

 自分の症状について深刻な捉え方をしている人は、一人もいない。

 「そんなこと、認知症では常識だよ」と言われるかもしれない。

 だが、私は知らなかった。

 学ぶべきことは、まだまだたくさんある、ということである。

 自分の無知を思い知らされている。