私たち班からの参列者の任務は終わった。
思えば通夜・告別式においてある意味最も大事な香典
の拝領と管理を任されているのだから、班のお付き合い
は中身の濃いものと言える。
皆が集まる。
班長さんが、簡単な挨拶とねぎらいの言葉を添えた。
他人行儀な感じもするが、これもけじめである。
会場を出て駐車場に向かう。
Iさんが「昨日のお通夜は(参列者の人数が)凄かったけ
ど、今日はあれ??っていう感じだったよね」「町内の人は
ほとんど来なかったし」と言った。
これは口にはしないが、皆が感じたことだろう。
「昨日は会社の関係でギューギュー満員だったけど、今
日はねぇ・・・」
通夜と告別式の参列者数の差がこれほどあることは、ま
たとないだろう。
通夜は現職の政治家並み、告別式は一ケタである。
一ケタもかなり少ない一ケタである。
大変な社交家とみられていた奥さんが実はそうではない
ことも判明した。
なんだか家の秘密を見てしまった気にもなった。
だが、今までの間違った認識を改めることができたとも
いえる。
今まで奥さんを恐れていた自分たちが愚かに思えてくる。
私は自転車に乗って家に帰った。
ちなみに私は故人のTSさんとは、一回も話をしたことは
無かった。
顔も合わせないので挨拶すらしたこともなかった。
そんな間柄だった。