”刑事コロンボ”におけるコロンボ警部のキャラ クターは、その殆どをピーター・フォークが創りだ したものと私はみている。 それは、収録前に脚本にクレームをつけ内容 の変更を迫る。 収録中には、カットできないような見事なアドリ ブを発して、新たな設定…

”刑事コロンボ”の原作者コンビが事前に想定 していた”コロンボ警部像”とは、どのようなもの だったのだろうか？ 少なくともピーター・フォークが扮したような人 物ではなかっただろう。 原作者コンビがフォーク版のコロンボ警部を最 初から気に入っていたの…

”刑事コロンボ”の主役を担う以前のピーター・フ ォークは、脇役が多かったとはいえ、決してパッと しない俳優ではなかった。 駆け出しの頃から常に仕事のオファーがあり、途 切れなくテレビや映画に出演していた。 これは、俳優としては稀な部類に入る。 米…

”刑事コロンボ”第一回放送の”死者の身代金”は、 視聴率35.7％を記録した。 これは、テレビドラマの初回としては、驚異的な 数字である。 普通、テレビドラマは大スターが主演し、人気俳 優が脇を固め、主人公が「いかにもドラマ」といった 大活躍を繰り広げ…

”刑事コロンボ”のシリーズ化第一作目”死者 の身代金”では、その後の作品でお約束の設 定が既に殆ど揃っている。 被害者も加害者もリッチな人たちばかりとい うのが、"刑事コロンボ"の原則である。 これは、こうした刑事ドラマでは異色なことで ある。 普通の…

”刑事コロンボ”の２本目のパイロット版”死者の 身代金”は、1971年3月１日に放送された。 これは、米国での放送日時で、世界各国ではこ れよりも早くて1～２年後、遅い国ではルクセンブ ルグのように75年放送の国もあった。 1970年代初頭は、米国での放送日と…

”刑事コロンボ”には、パイロット版と呼ばれる 作品が２つもある。 ひとつは、1968年に制作された”殺人処方箋” である。 この作品は、コロンボ警部が脇役として初登場 したテレビドラマ”Enough Rope"を元に戯曲化し た”殺人処方箋”を再度単発のテレビドラマ化…

”刑事コロンボ”の原作者コンビのひとりウィリアム・ リンクは、”刑事コロンボ”の制作当時を、こう振り 返っている。 「ピーター・フォークとは、いつも言い争いが耐えな い闘争の日々だった」 フォークは、常に脚本にクレームをつけていたよう だ。 制作サイ…

ピーター・フォークは自分のアイディアを作品に 盛り込むために、とった手法は主にふたつある。 一つめは事前に「セリフのこの部分が気に入ら ない」とスタッフにクレームを入れる。 これは、相手に対応する時間の余裕を与えるが、 それだけに問題が大きく膨…

”刑事コロンボ”ピーター・フォークは、コロンボ 警部の人物設定を原作からいくつも変更した。 その一つに、コロンボ警部の話し方、物腰があ る。 ”刑事コロンボ”のパイロット版である”殺人処 方箋”収録の際のことである。 フォークはコロンボ警部が聞き込み…

ピーター・フォークが異例の主役締め出しを食ら ってまで、自身のアイディアを反映させた”刑事コ ロンボ”は、最初から大成功をおさめた。 こうなると、制作現場の空気は「正しいのはフォ ークさんだ」となる。 ことごとく対立していた原作者コンビの案をその…

ピーター・フォークが”刑事コロンボ”の撮影か ら締め出されたのは、撮影開始から1カ月ほど 経ったころのことである。 未だ放送前の時点である。 フォークは、「主役がいなければ撮影にはなら ないだろう」と呑気なものだった。 ここで、フォークは焦ったり、…

ピーター・フォークは、渡された”刑事コロンボ” の脚本に不満を持った。 そして、すぐにそれを態度で表明した。 「頭を使う必要のないアクションや馬鹿げたジ ョークを平気な顔をして演じることを拒絶したんだ」 フォークは、ギャング役を多く演じていた頃、…

ピーター・フォークは何がこうした事態を招いたか を理解していた。 「脚本をないがしろにし、仕事を妨害したと思わ れたようだ」 「脚本の出来について、あれこれ口やかましく 口出しした」 確かにフォークはコロンボ刑事の基本設定の時 点で既に脚本を無視…

撮影現場を締め出されてしまったピーター・フ ォークは、こう思ったそうだ。 （主役を締め出すなんてありえない。まぁ何と かなるだろう） こうした事態に直面しても、こう思ってしまうあ たりがフォークらしい。 主役締め出しとは異常事態である。 普通だっ…

”刑事コロンボ”の撮影が始まって一ヶ月ほど経っ た頃のことである。 その日フォークは、突然撮影を締め出されてしまっ た。 ”摩擦”が形になって現れたのである。 事態は、ユニバーサル・スタジオの役員の弁護士 バート・フィールズを通じ、フォークに知らさ…

ピーター・フォークは”刑事コロンボ”に対して、 最初から強いこだわりを持って携わっていた。 それは、妥協の無い役作りに見ることができる。 コロンボ警部の原作者コンビによる元々の設定 は「少し地味な感じの刑事」というだけである。 その設定を大いに改…

”コロンボ警部”は、誰が生み出したのだろうか？ 「そりゃ、原作者である脚本家コンビのリンク＆レヴ ィンソンだ」という声が出るだろう。 それはごくまともな意見である。 だが、私はリンク＆レヴィンソンがコロンボ警部誕 生に占めた役割は30～40％程度だと…

ピーター・フォークは、元々愛煙家だった。 それもヘビースモーカーだったらしい。 フォークはずっと紙巻きタバコを吸っていた。 だが”刑事コロンボ”シリーズが始まると、プラ イベートでも葉巻を吸うようになったそうだ。 役がプライベートにも入り込んだの…

コロンボ警部が吸っている葉巻の銘柄について は、幾つもの説がある。 スタッフがはっきりと「○○の葉巻です」と証言 したわけではないからである。 また、コロンボ警部は回によっては見た目では っきりわかるほど明らかに違う葉巻を吸っている。 やはり、そ…

コロンボ警部が吸っていたのは、どの銘柄の葉 巻なのか？ これについては、多くのファンが関心を持ち、取 材も成されている。 だが、「これがコロンボ警部の葉巻だ」というも のは明らかになっていない。 しかも基本的に銘柄は一定していない、という のが真…

世間では「コロンボ警部の安葉巻」と言われてはい るが、葉巻というものはそもそも高価なものなのであ る。 これは、他の何に例えれば良いのだろうか？ ワイン？ ウィスキー？ クルマ？ ワインは近年では輸入物でかなりの低価格品が流 通するようになってき…

私が葉巻生活に見切りをつけたのは、葉巻その ものが高かったからである。 「そんなこと、最初からわかりそうなものだ！」と言 われるかもしれない。 だが、当時の私はそこまで頭が回らなかった。 私の20代は、今以上に愚かだった。 そして愚かなのに愚かで…

葉巻を吸っていた私には、どうしても避けられ ない問題があった。 「若造が葉巻なんぞ吸って生意気だ」 「葉巻は臭い」 といった声や視線といったことではない。 それは、葉巻は値段が高いということである。 それはさぞ高価な葉巻を吸っていたのだろう、 と…

五月になり、当連載もまたタイトルを変えて継続 ということになった。 ”刑事コロンボ”やコロンボ警部とピーター・フォー クについては書いておきたいことが、いろいろある。 その上、連載に関連していろいろと調べていくと 今まで知らなかったことが幾つも発…

私は、かつては喫煙者だった。 それもヘビースモーカーだった。 そして私はあらゆる銘柄のタバコを吸ってみ た。 好奇心は、そうした愚か者にも備わっている のだ。 国産タバコはもちろん、当時国内で手に入る 全ての輸入タバコを吸った。 紙巻きタバコだけ…

コロンボ警部と言えば、葉巻である。 そしてその葉巻は殆どの場合記述者によって 「安葉巻」と形容されている。 「安葉巻って何だ？」 私は、10代の頃からこのことが気になってしよう がなかった。 葉巻って、そもそも高いものじゃないのか？ 私はなぜそう思…

当連載のテーマのひとつに”誰があのコロンボ 警部を作り上げたのか？”がある。 となると、コロンボ警部にとっては不可欠のアイ テムである葉巻は、誰が持ち出したのか？という ことについても記していかなければならないだろう。 コロンボ警部と葉巻はあまり…

コロンボ警部には、レインコート、クルマ、茶色の スーツと茶色の靴といくつものトレードマークがある。 そして、忘れてはならないもう一つ重要なアイテ ムがある。 葉巻である。 コロンボ警部は、葉巻をところかまわず吸い、犯 人や捜査協力者たちに顰蹙を…

私はクルマ全般について、まるで疎い。 人として、かなり低レベルの知識しかない。 それでも、今回は”刑事コロンボ”ということで 少々記事にしてみたい。 コロンボ警部の愛車は、フランス・プジョー社製 で米国向けにフランスで生産された。 コロンボ警部が…