葉巻を吸っていた私には、どうしても避けられ
ない問題があった。
「若造が葉巻なんぞ吸って生意気だ」
「葉巻は臭い」
といった声や視線といったことではない。
それは、葉巻は値段が高いということである。
それはさぞ高価な葉巻を吸っていたのだろう、
と思われるかもしれない。
そんなことは決してない。
私が吸っていたのは、最も安いランクのもの
である。
それでも、5本で500円はした。
1本100円である。
当時は国産タバコのマイルドセブンやキャビン
など20本入りのタバコが一箱200円くらいだった
時である。
葉巻は太いだけあって紙巻きタバコよりも煙も
多く、「吸ったなぁ~」という充足感は残る。
葉巻を1本吸えば、紙巻きタバコ3~4本分に
相当する感覚だと思う。
そのため喫煙のインターバルの時間は長くなる。
それでも、「一本吸ったから今日は吸わなくて
も大丈夫」というわけにはいかない。
時間が経過すれば紙巻きタバコと同様、また
吸いたくなる。
そうは言っても、1本100円である。
ホイホイ吸っていたら、結構な金額になっていく。
これは、葉巻は吸い続けられないな。
私には紙巻きタバコで十分だ。
葉巻がどんなものかも、大体わかった。
私の葉巻生活は、ごく短期間で終焉を迎えた
のであった。
~続く~