喫煙は体に悪い。
タバコは、市販されている毒である。
煙をわざわざ吸うのである。
考えたら不自然な行為である。
この煙が呼吸器系統にダメージを与えそうなことは、
容易に想像がつく。
主成分はニコチンとタールである。
ニコチンは神経に作用し、タールはヤニである。
タバコの煙は、煙だけではなく一酸化炭素も含んで
いる。
この一酸化炭素が体に良くない。
吸収されると赤血球中のヘモグロビンと結びついて
しまう。
ヘモグロビンは本来は酸素と結びつき、酸素を運搬
するというのが役目である。
一酸化炭素は酸素にとって代わり、ヘモグロビンと
結びついてしまう。
その結びつく強さは酸素の200倍もあり、酸素は置
いてきぼりになる。
これにより、肉体は酸欠状態となる。
酸欠は肉体の危機である。
呼吸器だけではなく体の各所に喫煙の害は及ぶこ
とになる。
それでも人はタバコを吸う。
タバコが体に悪そうなことは、喫煙者も十分承知し
ている。
「自分は大丈夫だろう」
この思い込みが無ければタバコは吸えない。
「自分だけは特別」という驕りがあってこそ、喫煙と
いう行為は成立する。
かくいう私も、20代の頃には、皆が呆れるほどのヘ
ビースモーカーだった。
「耳から煙が出そう」と言われるほど、吸っていた。
私もまた「自分は大丈夫だ」と思っていた。
少しの疑問も持っていなかった。
その愚かさに気が付き、私は目が覚めた。
今では、かつて自分が喫煙者であったことさえ忘れかけている。
これも驕りなのかもしれない。