不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

たばこの盛衰。

 今日ではタバコは人体に害を及ぼす、という認識は
広く浸透している。
 常識化している。
 この認識は、いつ頃発生したのだろうか?
 歴史をさかのぼってみる。
 喫煙は、北アメリカの原住民であるネイティブ・アメリ
カンによって始まった。
 当初は、聖なる儀式の供え物の一種として始まった
ようだ。
 精神に軽い酩酊を引き起こす喫煙は、神との一体感
を想起させる行為として尊重された。
 また、他者との友好の印として同じパイプをまわし喫
煙するというコミュニケーション・ツールとしての機能も
あった。
 このパイプのやりとりは、後のインドにおいても根付く
こととなる。
 喫煙は、アメリカ大陸発見のコロンブスらにより欧州
にもたらされた。
 その後、急速に世界中に広まって行った。
 そのスピードは、かつて無いほど急速だった。
 第2次対戦前までは、喫煙は成人男性のたしなみの一
つとされていた。
 たばこは吸って当たり前だったのだ。
 日本は世界的にも特に喫煙率が高かった。
 男性の75%は喫煙者だったとされる。
 たばこの製造販売を国の専売制にしていたところからも、
喫煙率の高さは思い起こされることであろう。
 国は確実に儲かることは、国の独占事業としたがるもの
である。
 たばこは、まさにうってつけだった。
 こうした圧倒的なステイタスを獲得したたばこである。
 だが、今日ではかなり旗色が悪い。
 喫煙が、人体に悪影響を及ぼすと言われ始めたのは、20
世紀に入ってからであろう。
 それ以前の文献には、たばこの害についての報告はほと
んど見当たらない。
 20世紀以降、研究者や臨床の現場や喫煙者自身からの
声により、喫煙の害がささやかれ始めた。
 その頃は、ささやき声だった。
 喫煙が疾病の要因であるとされる報告が、世界中から伝
えられるようになった。
 ささやき声も数が増せば、大声となる。
 少しずつ音量は増していった。
 同様に健康被害に嫌疑がもたれることが多い飲酒やコー
ヒーは、時にプラス面も発見される。
 その地位は揺らぐことは無いく、ほぼ安定している。
 たばこは、そうした援軍が一つも無い。
 常にマイナス、マイナスの連続である。
 今日では喫煙者は、社会の隅に追いやられている。
 その潮流は今後変わることは無いものと思われる。
 かつての隆盛は、見る影もない。
 栄枯盛衰、盛者必衰である。