不二家憩希のブログ

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フォーク版”刑事コロンボ”の誕生 その⑮

 ピーター・フォークが異例の主役締め出しを食ら
ってまで、自身のアイディアを反映させた”刑事コ
ロンボ”は、最初から大成功をおさめた。
 こうなると、制作現場の空気は「正しいのはフォ
ークさんだ」となる。
 ことごとく対立していた原作者コンビの案をその
まま映像化しても、これほどの視聴率は得られな
かっただろう、と思うようになってくる。
 では、原作者コンビの意向を忠実に映像化して
いたら、どうなっていたであろうか。
 こんな話がある。
 ある日、バート・フリードがピーター・フォーク
刑事コロンボ”を観ていた。
 フリードは、当ブログでも何度も取り上げている
初代のコロンボ警部を演じた俳優である。
 1960年放送のフリード版コロンボ警部が登場し
た”Enough Rope"は、大きな反響こそ呼ばなかっ
たものの、制作者サイドでは力の入った作品だった。
 当時としては極めて珍しいカラー放送だったから
である。
 1960年にしてカラー放送とは、何とも早い。
 記念すべき作品といえるかもしれない。
 だが、観ていたフリードは、フォークが演ずるとこ
ろのコロンボ警部が、かつて自分も演じたことのあ
コロンボ警部だとは気がつかなかったのである。
 つまり、フリード版のコロンボ警部とフォーク版の
コロンボ警部とでは、当人ですらわからないほどの
開きがあるということである。
 私が「コロンボ警部の70%は、ピーター・フォーク
が生み出した」というのは、こうしたことからも納得
していただけると思う。
 
 ~続く~