不二家憩希のブログ

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フォーク版”刑事コロンボ”の誕生 その③

 私が葉巻生活に見切りをつけたのは、葉巻その
ものが高かったからである。
「そんなこと、最初からわかりそうなものだ!」と言
われるかもしれない。
 だが、当時の私はそこまで頭が回らなかった。
 私の20代は、今以上に愚かだった。
 そして愚かなのに愚かではないと思っていたの
だ。
 こうなると、もうどうしようもない。
 自覚の無い愚か者ほど厄介なものは無い。
 愚か者とはそうしたものなのである。
 加えて刑事コロンボ”でお馴染みとなった”安葉
巻”という言葉が私の葉巻生活に大きな要因にな
っている。
 私は10代のうちから安葉巻、安葉巻と何度も聞い
ているうちに、安葉巻というお値打ちタバコがある
ように思うようになっていたのだ。
 (安い葉巻とやらがあるようだから、それで紙巻き
タバコの代わりになるだろう)と思いだした。
 それにあのコロンボ警部が吸っているのだ。
 そんなに高くはつかないだろう、と踏んだのだ。
 私はいろいろな場面で考えが天地茂、否、考えが
甘いのである。
「葉巻は実は高い。元々高いものである」
 私は、実生活においてこの単純な事実を確認する
ことができたのだった。
 
 ~続く~