”コロンボ警部”は、誰が生み出したのだろうか?
「そりゃ、原作者である脚本家コンビのリンク&レヴ
ィンソンだ」という声が出るだろう。
それはごくまともな意見である。
だが、私はリンク&レヴィンソンがコロンボ警部誕
生に占めた役割は30~40%程度だと思っている。
「ちょっと少なく見積もりすぎなのでは?」という声
も上がりそうだ。
そう考えて当然である。
コロンボ警部の性格や容姿の基本設定を立てた
のはリンク&レヴィンソンであることは間違いない。
しかし、それらの多くはピーター・フォークによって
無視もしくは改変されていった。
そしてフォークのそうした原作を超えた役作りが功
を奏し、”刑事コロンボ”は世界的な人気を博するこ
とになる。
もし、これが原作者の設定通りのコロンボ警部だっ
たら、どうなっていただろうか。
初代のコロンボ警部であるバート・フリード版は、殆
ど話題にならず、忘れ去られてしまった。
2代目のトーマス・ミッチェル版は、どうだっただろう
か。
こちらは、大好評だったようだがテレビ・ドラマとして
作品化されたら、どうなっていただろうか。
ミッチェルは、残念ながら1962年に亡くなってしまっ
ている。
残された写真を見ると、普通の初老の刑事という感
じである。
フォーク版のコロンボ警部のような強烈な個性は無
い。
「個性を薄めることも個性の一つ」という考え方もある。
周囲との掛け合いで演技は成立するのだから、強烈
な個性は必要ない。
リアリティを出すには、個性は控えた方が良い、とい
う意見もある。
ミッチェル版のコロンボの映像は残っておらず、その
優れた演技は語り継がれてはいるが、その詳細は不
明の幻の存在となってしまっている。
今日、私たちが知っているコロンボ警部の60%~70
%は、フォークが生み出したと私は考えている。
ちょっと多く見積もりすぎだ、と言われるかもしれない
が、これは妥当な数値だと思う。
~続く~