不二家憩希のブログ

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フォーク版”刑事コロンボ”の誕生 その⑧

 ”コロンボ警部”は、誰が生み出したのだろうか?
「そりゃ、原作者である脚本家コンビのリンク&レヴ
ィンソンだ」という声が出るだろう。
 それはごくまともな意見である。
 だが、私はリンク&レヴィンソンがコロンボ警部誕
生に占めた役割は30~40%程度だと思っている。
「ちょっと少なく見積もりすぎなのでは?」という声
も上がりそうだ。
 そう考えて当然である。
 コロンボ警部の性格や容姿の基本設定を立てた
のはリンク&レヴィンソンであることは間違いない。
 しかし、それらの多くはピーター・フォークによって
無視もしくは改変されていった。
 そしてフォークのそうした原作を超えた役作りが功
を奏し、”刑事コロンボ”は世界的な人気を博するこ
とになる。
 もし、これが原作者の設定通りのコロンボ警部だっ
たら、どうなっていただろうか。
 初代のコロンボ警部であるバート・フリード版は、殆
話題にならず、忘れ去られてしまった。
 2代目のトーマス・ミッチェル版は、どうだっただろう
か。
 こちらは、大好評だったようだがテレビ・ドラマとして
作品化されたら、どうなっていただろうか。
 ミッチェルは、残念ながら1962年に亡くなってしまっ
ている。
 残された写真を見ると、普通の初老の刑事という感
じである。
 フォーク版のコロンボ警部のような強烈な個性は無
い。
「個性を薄めることも個性の一つ」という考え方もある。
 周囲との掛け合いで演技は成立するのだから、強烈
な個性は必要ない。
 リアリティを出すには、個性は控えた方が良い、とい
う意見もある。
 ミッチェル版のコロンボの映像は残っておらず、その
優れた演技は語り継がれてはいるが、その詳細は不
明の幻の存在となってしまっている。
 今日、私たちが知っているコロンボ警部の60%~70
%は、フォークが生み出したと私は考えている。
 ちょっと多く見積もりすぎだ、と言われるかもしれない
が、これは妥当な数値だと思う。
 
 ~続く~