不二家憩希のブログ

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フォーク版”刑事コロンボ”の誕生 その21

 ”刑事コロンボ”のシリーズ化第一作目”死者
の身代金”では、その後の作品でお約束の設
定が既に殆ど揃っている。
  被害者も加害者もリッチな人たちばかりとい
うのが、"刑事コロンボ"の原則である。
  これは、こうした刑事ドラマでは異色なことで
ある。
  普通のドラマでは被害者を様々な種類の人に
して、ドラマのバリエーションを広げたりリアリテ
ィを持たせようとする。
 だが、”刑事コロンボ"では、そうした手法は一
切とらず、被害者と加害者をリッチな人々ばかり
に限定している。
  そのためリアリティを出すために他の細かい設
定に気をつかうことになり、その点が原作者コン
ビとピーター・フォークが常に言い争いをする要因
になった。
  ドラマではまずは被害者の豪邸が紹介される。
 日本で言うところの「お城のようなお屋敷」ばかり
である。
  あれだけ広ければ、家の中でダンスが出来るな
と納得させられる。
 多くの場合、ここで犯行が行われる。
 コロンボ警部が事情聴取に何度も訪れて作品
中で最も多く出てくる場所になる。
   加害者が被害者の身内の場合、ここが作品の
主な舞台となる。
   また、事件関係者が乗っているクルマも、どれ
も大変な高級車ばかりである。
  見ていると「あぁ、米国人は、こういう暮らしをし
ている人ばかりなのか」という錯覚に陥ってしまう。
  しかし、そこへ登場するのがコロンボ警部である。
   廃車寸前の愛車の盛大なエンジン音を響かせ、
殺害現場に現れる。
  その容姿も、どこにでもいそうな穏やかそうな感
じである。
  リッチな事件関係者と一般市民代表のようなコロ
ンボ警部、この見事な対比が"刑事コロンボ"の人
気の要因のひとつとなっている。
 
 ~続く~