”刑事コロンボ”の再登場に好都合な二つ目は、コ
ロンボ警部の本来の設定にある。
より中年刑事というイメージで知れ渡っている。
だが、原作ではコロンボ警部は「定年間近のベテラ
ン刑事」という設定なのである。
これは当ブログで再三記している。
長年の経験を元に地道な捜査を積み重ね犯人を追
い込んでいくベテラン刑事というのが、原作者が思い
描いていたコロンボ警部なのである。
大ヒットした戯曲版のコロンボ警部では、当時70歳
のトーマス・ミッチェルが演じている。
実現はしなかったが、テレビ・シリーズを開始するに
当たり、原作者コンビがコロンボ警部役を希望してい
たビング・クロスビーは当時68歳だった。
彼らは力のある俳優なので、自分の実年齢よりも
10歳くらい若く演じることは、簡単なことなのだろう。
いずれにしても、コロンボ警部は原作の時点では初
老の刑事なのであった。
それが、キャスティングの辞退が相次ぎ、コロンボ
警部役は当時41歳のフォークに回ってきた。
原作者コンビも(ちょっと若すぎるのでは)と危惧した。
しかし、そこはフォークの創造力ある役作りと自然な
演技でコロンボ警部役を自分のものにしてしまったの
だった。
フォークの名演により、「コロンボ警部は定年間近の
刑事」という設定は忘れ去られてしまった。
それどころか、戯曲版の功労者のミッチェルの存在
すらかき消されてしまっていた。
「コロンボ警部は、さえない中年の刑事」という殆どの
人が持っている認識は、フォークの創作によるのであ
る。
そして、時は流れて”刑事コロンボ”復活の時が来た。
~続く~