”ドラマー出身のヴォーカリスト、歌うドラマー”今
回はポップス編である。
私が、最初に思いついたのが、アース・ウィンド
＆ファイアのモーリス・ホワイト氏である。（以下敬称略）
ホワイトはEW&Fのリーダーでソング・ライターそ
してヴォーカリストとして、大成功を収めている。
彼は、EW&Fを結成する前は、ジャズ・ピアニス
ト・ラムゼイ・ルイス・トリオのドラマーだった。
ラムゼイ・ルイスは、かなりファンクに接近した
ミュージシャンである。
彼の音楽をジャズと呼んで良いものか、と少し
躊躇もしてしまう。
私は以前ラムゼイ・ルイスのアルバムを買った
ことがある。
その頃は、私はジャズの知識が未だ乏しかっ
た。
私は、ラムゼイ・ルイスは普通のジャズだろう、
と思って買ったのだが、聴いてみると、そのあま
りのファンクぶりに腹が立ってしまった。
とは中古レコード屋さんに売却することを意味する）
私はファンクが嫌いなわけではないのだが、ジ
ャズに大きく持ち込まれると嫌に感じてしまう。
ジャズはジャズとして鑑賞したい。
ラムゼイ・ルイスはジャズ５０％ファンク５０％なの
だ。
これではファンク超過である。
加えて、ラムゼイ・ルイスはポップスの売れ線の
曲ばかりをカバーしていた。
ヒット曲が出れば、直ぐに飛びつく。
こうした姿勢は日本では大いに嫌われた。
ラムゼイ・ルイスを無視・黙殺してきた日本のジャ
ズ・ファンはかなり多いと思う。
ジャズ扱いされてこなかったと思われるし、実際
ジャズとは言い難いものがある。
だが本国アメリカではそうではなかった。
ラムゼイ・ルイスは大人気だったのだ。
モーリス・ホワイトは、ドラムを叩いていて「ははぁ
～ん、こうすれば売れるのか」と思っていたに違いな
い。
ドラマーは夢中でリズムを刻んでいるかと思いきや、
意外なほどバンド全体を観察しているのだ。
ホワイトはトリオ脱退後、EW&Fを結成した。
このグループでは歌い手として専念した。
そしてヒット曲を連発し、かつてのボスをしのぐ人
気者となっていった。
それでは、モーリス・ホワイト在籍時のラムゼイ・
ルイス・トリオの演奏をご紹介する。
この演奏を聞いても、ジャズ・ドラムっぽいところは
殆ど感じられない。
ちなみに曲はスティービー・ワンダーの大ヒット曲
である。
