”ドラマー出身のヴォーカリスト、歌うドラマー”本
日は、ジャズ編である。
まずは、昨日も紹介したメル・トーメである。
メル・トーメはジャズの貴公子とも呼ばれたジャ
ズ史上最高の歌手のひとりである。
誰でも一度は聞いたことのある「ザ・クリスマス・
ソング」の作者でもある。
このメル・トーメは歌手としてショー・ビジネス界入
りしたのではかったそうだ。
彼のスタートはドラマーだったのだ。
だが、その世界であるドラマーと出会い、ジャズ・
ドラマーとして活動をあきらめてしまった。
そのドラマーとは、バディ・リッチである。
バディ・リッチはジャズ史における最高のドラマー
である。
そのプレイは超人的で、コピーすら出来ないほど
である。
アルバムなどで彼のプレイを聞き「あれ？この部
分はどうやって演奏しているのだろうか？」と思え
るような部分が沢山ある。
後年、ビデオやネットでその時の演奏風景が公
開されるようになった。
ある人が「やった、これで長年の謎が解ける！」
そう思って映像を見たそうだ。
その人は自分の目を疑ったそうだ。
見てもスティックさばきが速過ぎて、どうやってい
るのかわからないのだ。
バディ・リッチは、ジャズ・ドラムの超人だった。
大親友となった。
（未邦訳）を執筆した。
ちなみにバディ・リッチも歌うのだが、歌の方は、
大してうまくない。
勢いがあるだけで、殆ど素人レベルでドラマーとし
ての名声が無ければレコード発売はされなかったで
あろう。
グラディ・テイトは歌うドラマーである。
グラディ・テイトと言えば多くのジャズの巨人たちと
共演してきた名手である。
だが、彼は「本業は歌手でいきたい」と言っている
そうだ。
何ぃ！歌手本業だとぉ？
ドラムでこれほど高い評価を得ていながら、なおも
歌手としてもやっていこうとしているのか！
確かに上手だけれど、そこまで思っていたとは予
想外だった。
ムも兼業していたそうだ。
元ウェザーリポートのドラマーで「千手観音」の異
名をとるオマー・ハキムは、ジャズ、フュージョン、ロ
ックと引っ張りだこの売れっ子であるが、歌も実にう
まい。
近年ではハンク・ジョーンズのグレイト・ジャズ・トリ
オの何曲かでスタンダード曲を歌っている。
自身のソロアルバムでは、ブラックコンテンポラリ
ー・サウンドをバックに見事な歌唱を披露している。
知らない人は専門の歌手と思うに違いない。
歌手としても極めて高い歌唱力を持っている。
ミュージシャンでこれ程で歌えるのは、ジョージ・
ベンソン以来だと思う。
フランス・ジャズ界の巨匠ドラマー・アルド・ロマー
ノも自身の歌を前面に出したアルバムを発表してい
る。
何とそのアルバムでは、ドラムを叩かず歌に専念
している。
実はロマーノは１９７０年代の一時期にポップ・ソン
グを歌っていたことがある。
路を求めたのだった。
フリー・ジャズに染まらず、歌に走るとは面白い。
だが、ヒット曲が出せず歌手としては鳴かず飛ばず
だったそうだ。
時は流れ２００２年、ロマーノは声帯にガンが発見
され闘病の時を過ごした。
その後病を克服し、その経験がかえって自身の声
に対する考え方が変わり、歌のレッスンを始めるよう
になったそうだ。
私がジャズ関連でわかるのは、以上である。
スティーブ・ガッドもソロ・デビュー作で１曲歌ってい
るそうだが、１曲だけなので、取り上げなかった。
「他にもこんな人がいる！」とご存じの方は、是非お
知らせください。
