私はゴミを一つ一つ摘み上げて見ていった。
ゴミの点検である。
刃はとても小さく、ゴミの中に挟まってしまっ
ているかもしれない。
私は底無し沼に落としたわけでなし、すぐに
見つかるだろう、と思っていた。
だが、そうでもなかった。
このごみ箱は底無し沼か?
中身は髭ゴミにまぶされた鼻紙だけなのに、
どうしてこんなに手間取るのか。
ひょっとして、回転刃に足が生えて歩き出し
てしまったのか?
捜索は続く。
指先が髭ゴミだらけになっていく。
爪の間にも髭ゴミが入っていく。
そうしているうちに、ゴミの山の間から銀色
の物体が見えた。
おっ!
私は、銀色の物体を摘み上げた。
見つかった。
回転刃である。
よく見てみる。
足は生えていない。
落とした時のままだった。
私は、早速その回転刃を元の台に固定する
ことにした。
刃を台の爪にはめ込んだ。
捜索完了である。
私の日常ではこんなことが沢山起こっている。