回転刃は目視では見つけられなかった。
刃は小さいとはいえ銀色なので、目立つはず
だ。
そのため私は上から覗けばすぐに見つかるだ
ろうと考えていた。
だが、そう簡単にはいかないようだ。
刃はゴミの迷宮の中に迷い込んでしまったよ
うだ。
刃を救い出すには、方法は一つしかない。
自らの手を突っ込むのだ。
嫌だなぁ。
そうは思っても、ここは実行に移さねばなるま
い。
私はごみ箱の上の方に積もったゴミを手で摘
み上げた。
これで見つかるか?
目を凝らしてみる。
だが、刃は見当たらない。
もうひとつまみ摘んでみる。
やはり見つからない。
刃はかなり下の方に入ってしまったのだろうか。
よりによってご丁寧なことである。
となると、取るべき方法は一つしかない。
あぁ、嫌だな。
本当はしたくないが、せざるを得まい。
これも失われた回転刃のためだ。
~続く~