不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

黒猫が庭に入って来て。

 家に帰ると庭の隅で黒い影が動いているの
が見えた。
 それは猫だった。
 黒猫である。
 ひょっとしてヤマト運輸の回し者か?
 だが、帽子もかぶっていないし、配送伝票
も持っていないところを見るとそうではなさ
そうだ。
 品のある良い毛艶の優雅ないでたちである。
 このあたりでは見たことが無い。
 私は「シーッ、シーッ」と追い立てた。
 だが、その黒猫は動じない。
 さては、こやつプロの野良猫ではないな。
 普通の野良猫は「シーッ」と声を出せば、
大抵は逃げ出すからだ。
 私は、もう一度「シーッ」と言った。
 それで、ようやく黒猫は反応し、お隣のブ
ロック塀の上に飛び乗った。
 そして尚もこちらを向いている。
 逃げようとしない。
 私は、また「シーッ」と言った。
 すると黒猫は、ブロック塀の上を足早に去
っていった。
 こう何度も「シーッ」と発声していると、
何だかCome Together を歌っているジョン・
レノンのような気分になってくる。

 やれやれ、また猫か。
 数ヶ月前に猫よけのにおいのする物体を置
いていたのだが、さすがにもう効力が無くな
ってしまったのだろう。
 私は、買い置きしておいた猫よけを撒いた。
 前回は円形の固形物だったのだが、今回は
顆粒状のものにしてみた。
 これも前回の品と同様、100円ショップで
買ってきたものである。
 私は猫自体は嫌いではないが、庭の土の部
分にフンをしていくのでそれに憤慨しているの
だ。
 あの目にしみるようなフンの臭いは、猫に
対する好意を一瞬で消し去ってしまう破壊力
がある。
 しかも、いつも軟便である。
 ウサギのように丸くて硬くてひどい臭いも
しなければ始末も楽で良いのだが、猫のフン
はどうしようもない。
 
 私は一通り猫除けを撒いた。
 説明書きによれば、これで2ヶ月は猫は寄り
付かないそうだ。
 黒猫君、フンはご自宅でして下さい。