TEさんのお宅に伺った。
あいにくお留守のようだった。
それでは、また改めて、と思っていると背後から
声がする。
「ニャァ~」
見ると一匹の黒猫がこちらにやって来る。
TEさんのお宅の玄関前に立っている私の所へ
近付いてくる。
この黒猫は、この辺りを根城としているらしい。
路上生活猫である。
前回見かけたときは、水が流れていない空の側
溝の中にいた。
その時もちょうど通りかかった私に「ニャァ~」と
挨拶?をしてきた。
黒猫はなおも私に近付いてくる。
この辺りの路上生活猫は人を怖がらないのだろ
うか?
黒猫は私の足元をかすめるように通り抜けた。
そして玄関前まで来ると何かを探すように地面を
見渡した。
全然逃げない。
私との距離はほぼゼロ㎝である。
人に慣れているようだ。
路上生活猫とは考えられないほどフレンドリーで
ある。
だが、この黒猫は間違いなく路上生活猫である。
顔を見ると鼻筋の上の所を怪我をしている。
「ニャァ~」と発し続ける。
TEさんのお宅の飼い猫に会いに来たのだろうか?
残念ながら家の中にはいるのだろうが、会えない
よ。
黒猫は何回かアピールした後、来た方向へ戻って
行った。
私は後をつけてみる。
黒猫はTEさんのガレージのクルマの下にもぐり込
んだ。
今の時間帯は、そこが一番涼しいのか。
猫は快適な場所を熟知している。
それにしても、あんなに人馴れしている路上生活
猫に出会ったのは初めてである。
TEさんが可愛がっておられるのかもしれない。
また他の人達もいじめたりはしていないのだろう。
そうでなければ人を怖がらないあのような態度は
とれないと思う。
ちなみに、わが家の周辺の路上生活猫は、原則
1メートル以上は近づけない。
すぐに逃げ出してしまう。
人が怖いのだろう。
私も以前は随分追いかけまわしたので、悪評が
立っているのかもしれない。
少し反省している。