用事の帰りに氏神様に寄った。
まず最初に氏神様に行かず、全部の用事が済んでから寄るとい
うのが私の行動パターンである。
熱心な信者さんなら、まず氏神様にお参りしてから、その後の
行動に移るというのが正しいあり方であろう。
だが、私は違う。
余った時間があれば参拝するというスタンスである。
自転車を走らせ、氏神様に到着した。
子どもたちの声が聞こえる。
見ると境内に最寄りの保育園の園児たちがしゃがんで座ってい
る。
園外保育で3人の保育士さんが引率してきたようだ。
一人の保育士さんが、園児たちに何か説明をしている。
「この美は臭いです。銀杏よりも臭いです。だから拾ってはい
けません」
これから境内で何かを拾う行事があるようだ。
だが、園児に銀杏を例にとって教えてわかるのだろうか?
今の子は知っているのか?
私が銀杏を認識したのは、ずっと大きくなってからだ。
「では、説明がわかった子は拾いましょう!」
園児たちは一斉に動き出した。
何かを拾っている。
木から落ちた実があるらしい。
私は園児を横に見て参道を進む。
しばし拝礼する。
参道を戻ると園児たちが、拾っている。
サボっている子はいないようだ。
先輩である私と違い、みんな真面目なようだ。
私は歓声を後に自転車乗って家に帰った。
「