は発生する。
才能は一定期間貸与されているだけなのに、自分の所
有物だと思いこむ。
影響力が大きい才能の持ち主ほど刻み込まれる業は深
くなりがちである。
(これほどの才能を持っている自分は、大した人物、偉大
な人間に違いない)と考えるようになる。
才能とは常に他者との比較において機能する。
だが、その人物しか使えない才能は、才能としてはみな
されない。
価値があるともされない。
価値とは他者との高低差のことだからである。
特殊能力としてはみられるが、そこに意義があるのかは
検討されずじまいのことが殆どである。
さて、才能は自分のものだと思う人には、遠からず高慢
心が生え始める。
表向き謙虚なふりをすることもあるが、内心ではそうでも
ない。
(私は特別な人間だ)と思うようになる。
自分の才能に対して誇りを持ち始める。
誇りはエゴに対する栄養でしか無い。
エゴは膨らみ続け鼻持ちならなくなる。
それでもその人には才能があるとされている限りは、周
囲は持て囃す。
巨大なエゴに高慢心は根を下ろす。
そして、その人を破壊していく。
才能は自分のものではない。
それを理解していないと、行末は悲惨なものになる。