午後3時過ぎ、私は自宅にいた。
救急車のサイレン音が聞こえてきた。
音はだんだん大きくなる。
こちらに来るのか?
サイレン音はなおも大きくなる。
これは近いな。
サイレン音が我が家の西側に来た。
目的地はこの辺りか?
救急車が我が家の前の道を走り抜ける。
そして、サイレン音は止んだ。
えぇ~、この辺か?
私は外に出た。
同時にお隣のKさんも家から出てきた。
二人で見回す。
「どこへ行った?」
Kさんは私に尋ねた。
「近いですよね」
わたしもよくわからない。
「あぁ~、あそこに停まっている」
Kさんが指をさす。
救急車は、近くのある施設の利用者が呼んだものだっ
たらしい。
あぁ~良かった。
私の班のお宅ではなかった。
ご近所で良からぬことは起きてほしくない。
それに当班は今年度は二人も故人が出ている。
人間いつどうなるかわからない。
3人目が無いとも限らない。
Kさんと私は一安心した。
知らんふりをしていても良いのだが、そうもしていられ
ない。
それがこの地域の人たちである。