中年の夫婦連れが我が家の方に来る様子が見えた。
夫婦は会釈をしながらこちらに来る。
(えぇ?誰だ?)
(憶えが無いな)
もっとも私は記憶力に自信がまるで無い。
(ひょっとしたら、どこかで会ったことがある人かな)
そう思って玄関を開ける。
「私、○○に引っ越してきましたHと言います」
あぁ、あの家の人か。
当班の端に位置する場所が造成され家が建てられてい
たのだ。
「今日から引っ越してきました」
今日は日が良いのかな?
あとで調べてみると今日は先負である。
そういうこととは関係なく、たまたま今日が都合が良かっ
たのであろう。
私は愛想よく応対する。
私は班内の人たちには特別に愛想が良い。
意識的にそうしているのだ。
笑顔でやり取りし、最後には引越しの挨拶の品も頂いた。
大柄なご主人と朗らかな奥さんだった。