用事を済ませての帰り道である。
市道の交差点から少し入ったところのお宅の生け垣を男
性が刈っている。
職人さんか、それともこのお宅のご主人か。
二人の女性がそれを見ている。
楽しそうに話をしている。
年齢は60代後半くらいだろうか。
1人は買い物バッグを持っている。
帰り道に顔を合わせ立ち話をしているようだ。
買い物バッグを持っている方の女性が、ふと私の方を見た。
そして私に会釈をした。
私は反射的に会釈を返した。
愛想の良い軽い笑顔付きである。
作り笑顔である。
私はこうした時に自動的に笑顔を作れるようになった。
やっと身についた能力である。
能力と言うには大袈裟であろうが、私はそう呼びたい。
あぁ、ここまで来るのに随分時間がかかったなぁ。
20代の頃からこの能力があれば、と思うが今となっては仕方な
い。
後で私は考える。
えぇ~、誰だったかなぁ、この人?
しばらく頭を捻ってみたがわからない。
まぁ、いいか。