不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

班での通夜参列。その⑤

 Sさんのおしゃべりが少し間が空いた。
 すると左隣のKさんが話しかけてきた。
 Kさんは私の父と同世代の男性である。
 「ケーキちゃん」
 私はご近所さんからは昔からそう呼ばれていた。
 「ちゃん」か「君」付けである。
 オジサンである私であるが、未だに変わらない。
 「お父さんお母さんの供養ちゃんとしている?先祖供
養は大事だからね!」
 えぇ~、いきなり先祖供養の勧めか?
 しかもソフトではあるが説教口調である。
 Kさんは元々は、そういったことを他者に言う人では
ない。
 信仰心はある人で、市内の有名寺院主催の仏教作
家の講演会にも参加したりしている。
 だが、信仰心があることと先祖供養を勧めることは同
じようであってもその実は異なる。
 「先祖供養を怠っている家は良いことが無いから」
 そういうことまで言うのか。
 なんだか変わったなぁ。
 自らの死を予感して、宗教にのめりこんでいるように
感じる。
 おかしな宗教団体と関わるよりはマシかもしれない。
 だが、伝統ある仏教宗派であってもその捉え方信仰の
姿勢、理解度によって危険は同じくらい増していく。
 狂信は害悪でしかない。
 それは違う方向の堕落を招く。
 大丈夫かなぁ、Kさん。
 Kさんの口調には、ただならぬものがあった。

 ~続く~