不二家憩希のブログ

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班での通夜参列。その⑥

 Kさんの話が終わると、再びSさんが話しかけて
きた。
 まだ話したりないのか?
 私はたまに相槌を打つだけで、ほとんど話をして
いない。
 Sさんは自分の話を聞いてほしいのか?
 それとも単におしゃべりがしたいだけなのか? 
 あるいは元々そういう生き物なのか?
 ここはおしゃべりの場ではない。
 通夜の席である。
 故人に思いを巡らす場ではなのか?
 そこまででなくとも、静かにしていることすらできな
いのか?
 おしゃべりをしているのは、この二人だけではない。
 会場全体から、おしゃべりが聞こえてくる。
 そんなにおしゃべりがしたいのだろうか?
 実の無い無駄なことを話せば話すほど人は退化し
ていくのである。
 そうしているうちに開式の時刻が来た。
 葬儀業者の司会で通夜式は始まった。
 僧侶が入場が告げられた。
 参列者は合掌で迎えるようにとアナウンスされた。
 会場の後ろ真ん中の通路を通って僧侶が歩いてく
る。
 合掌で迎えるほどの僧侶なのか?
 私は観察を開始した。

 ~続く~