郵便受けに手を入れ確認する。
はがきが一枚か。
私はそのはがきを取り出す。
青地に白抜きの三文字が中心にデザインされている。
「○明党」
あぁ、叔父一家か。
私の親戚には、S学会信者の一家がいる。
元々は、叔父は学会員ではなかったのだが、叔母に
影響されて信者となったのだ。
叔母の一族には、S学会の信者が多いらしく、血縁の
者を取り込むノウハウを身に付けているとされる。
そのため、他の親戚は叔父一家を警戒している。
付き合っていると、いろいろ面倒なのだ。
折伏まではしないであろうが、探りは入れてくる。
その家の人間の宗教的傾向などを知ろうとする。
あぁ、仲間が欲しいんだなぁ。
ばい菌と同じである。
私も彼らとは付き合いたくない。
親戚づきあいに宗教を持ち込むことに、強い抵抗がある。
親戚でも踏み込んではいけない領分がある。
そこに割と平気で上がりくるのが、彼らである。
布教のためなら何でも利用する。
血縁を理由に強く出てくることもあるらしい。
あぁ本当に弱った親戚だ。
私は、そのはがきをよく見もせず、資源ごみストックの袋
に投げ込んだ。