不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

お祭りの準備に行ってきた。その③

 集まった人達の皆が口々に「今日の幟立ては止
めた方良い」と言い出した。
 日本気象協会は不要不急の外出を控える呼びか
けを出している。
 呼びかけとなっているが、これは事実上の警告で
ある。
 他にも多くの公的機関も同様の呼びかけを出して
いる。
 交通機関の乱れも出ている。
 各地で週末に予定されていた行事も取り止めにな
っている。
 災害が目の前に迫っているのだ。
 そうした皆の気持ちを察し、町内会の役員の一人
が皆に話しかけた。
「今からお祭りの運営本部へ行って『どうしても今日
幟を立てないと駄目なのか』『明日に延ばせないか』
と聞いてきます」
 おぉ、それは当然だ、そうだそうだ、と声があがる。
 そして3人の役員が運営本部へ向かった。
 運営本部は、ここから歩いて3分の場所にある。
 そんなの自分たちで決めれば良いのでは?と思われ
る方もおられるかもしれない。
 準備の段階とはいえスケジュールの変更は町内会
の一存では決められないのである。
 当地のお祭りはちょっと複雑なシステムとなっている。
 このお祭りは鎌倉時代に始まり江戸時代初頭に現在
の内容になった。
 そのため運営本部と町内会は同等の立場ではない。
 江戸時代に平等などという観念はなかったからである。
 当町内会は運営本部の傘下とされている。
 現代に残る封建主義システムなのである。
 このあたりの事情は説明するとかなり長くなり、また
当地の所在を特定される恐れもあり略させていただく。
 何処かわかってしまうと圧力がかかって記事の掲載
ができなくなる恐れがあるからである。
 さて、これで今日の幟立ては中止だなという雰囲気
になった。
 明日(日曜日)になれば風もおさまるだろう。
「『幟が無いとお祭りの雰囲気が出ないので立てろ』 
とか言って立てさせられても、大風で幟が破れたって
運営本部がその分保証してくれるわけでない、うちの
町内会の損害(支出)になるだけだもんな」
 私の横にいた男性がそう言った。
 本当にその通りである。
 運営本部は指示を出し従わせても、お金の面倒まで
見てくれるわけではないのだ。
 台風並みの強風が吹くと予めわかっていながら、破
損が予期される幟を立てることは普通では考えられな
い。
 立てないのが常識、良識であろう。
 だが、お祭りの運営本部がどう判断するのか?
 これは判断を仰いでみるまでわからない。
 前近代的思考が支配するシステム、それが当地の
お祭りだからである。
 
 ~続く~