不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

特急列車をくい止めろ。その➄

 3回目の特急列車を見送った後、私は寝床に
戻った。
 まぁ、これも「2度あることは3度ある」というも
のだろう。
 いくらなんでも、もう列車は残っていないだろう。
 車庫に待機している様子も無い。
 3回も発車してしまえば、貨物だってもう無いだ
ろう。
 私は、眠りに就いた。
 その後私はまたしても発車ベルで目を覚まされ
た。
 またか!
 時計を見ると、1時半だった。
 また1時間後だ。
 私は、再度トイレに行った。
 これでは既に臨時列車ではない。
 立派に定期運行である。
 この強制収容所では私が知らない内に特急列
車の運行が始まっていたのか?
 しかも深夜特急である。
 そんなに何を急ぐ必要があるのだろうか?
 それにしても一晩に連続4回とは多過ぎる。
 私は3回目の時点で「もう終わりだろう」と読んで
いた。
 それが4回目の発車である。
 貨物は今回も無色透明で、ほぼ無臭の水である。
 一回目の貨物を除き、後は全部この水だった。
 こんな水がこの強制収容所の一体どこに保管さ
れていたのだろうか?
 下痢の場合、脱水状態を回避するために水分の
補給をしなければならないことは私も知ってはいる。
 だが、水分を摂れば摂るだけ列車の運行数が増
えそうな気がして何も飲まなかった。
 それなのに、特急列車は次々と発車をしていった
のだ。
 沿線に水など無いはずだ。
 特急列車は、一体どこからこの水を調達してくるの
だろうか?
 人体の不思議である。
 4回目の発車により、私も少し疲れてきた。
 そのせいか、布団に入るとすぐに眠ってしまった。
 だが、特急列車は、なおも発車の準備をしていた
のだった。
 
 ~続く~