不二家憩希のブログ

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特急列車をくい止めろ。その⑥

 4度目の深夜特急ではあったが、私は大して
ダメージは感じなかった。
 というのも、それらの特急はすべて「下り」のみ
だったからである。
 「上り」つまり嘔吐や吐き気も全く無かった。
 頭痛や発熱も無かった。
 「下り」にしても、腹痛といった下痢につきもの
の症状はひとつも無かった。
 痛くも痒くも無かった。
 ただ1時間毎に特急が予告無しに運行される
というだけだったのだ。
 これが仮に腹痛や嘔吐、頭痛とかがあれば、
大騒ぎしていたところだが、幸いにもそうはなら
ずに済んだ。
 私が気がかりだったのは、それらの列車が無
事発車されるか、ということだけだった。
 脱線だけはどうしても避けたい。
 貨物は水ばかりなので、少しの揺れでもこぼ
れる可能性がある。
 貨物が沿線にまき散らされると後が面倒である。
 私はこれらの特急を安全に運行させることだけ
を心がけていた。
 私は4本目の特急列車を見送った後、床に戻
った。
 時刻は深夜2時半過ぎだった。
 私は、もうこれで終わりだろう、と思った。
 貨物の量にもきりがあるだろう。
 無限供給されるわけがないからだ。
 私は眠りに就いた。
 だが、その眠りは、またしても発車ベルによって
破られることになる。
 
 ~続く~