不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

ピーラーを探す。

 大根の表皮を剥こうとピーラーを探した。
 ピーラー、つまり皮むき器である。
 私は野菜などの皮むきはピーラーを使わない
と出来ない。
 私は不器用なのだ。
 日本人は器用だと言われているが、残念なが
ら例外も存在するのである。
 私はかろうじて果物ナイフでリンゴや梨は剥け
るが、ジャガイモなどは無理だ。
 大根の桂剥きなども能力の範囲外である。
 私は食器棚の引き出しを開けた。
 普段あまり使わない器具は、その引き出しに
入れてある。
 私は引き出しに手を突っ込んでピーラーを取り
出そうとした。
 だが、そこにあるはずのピーラーが見つからな
い。
 確かにここにしまった筈である。
 他にしまうことは考えられない。
 そう思いなおして、再び探し始めた。
 だが、無い。
 おかしいなぁ。
 ひょっとして宇宙人が深夜に侵入してピーラーを
持ち出したのか?
 否、そんなわけはない。
 今、使おうとしている道具が無いとなると、少し
イライラしてくる。
 イライラとまでいかないでも、イラッくらいはして
くる。
 もう一回見てみる。
 引き出しには同じ様な器具がごちゃごちゃと入
っている。
 だが、目当てのピーラーは見当たらない。
 仕方ない。
 包丁で剥くか。
 だが、私が剥くと皮だけでなく実まで大いに剥
けてしまう。
 皮を剥いているのか、実を削いでいるかわから
なくなってしまう。
 これはやはり、ピーラーを使いたい。
 私は、再度引き出しを探すことにした。
 これは、一回引き出しの中身を全部外に出した
方が良いかもしれない。
 そう思い、底の方まで手を入れてひっくり返した。
 すると、見覚えのある模様の入った柄が見えた。
 あった!
 懐かしのピーラーとの再会である。
 それにしても、どうしてこんな奥に入っていたの
だろうか?
 前回しまった時には、一番上に置いた筈である。
 いつの間にか沈んで行ったのだろうか。
 この引き出しは底無し沼か?
 私はこの引き出しの中をもっと整頓しなければ、
と思った。
 しかし、その後も特に何もしていない。
 またの機会で良いか!と思ってしまうのだ。
 進歩の無い人間は、こんなものである。