日本では耳の穴に溜まるものを一般に「耳垢」
と言う。
あるいは「耳くそ」と呼ぶこともある。
日本では耳垢は汚いもの、不潔なものと捉えら
れている。
そのため日本では汚いものは早めに取り除こう
として、頻繁に耳掻きを行うことになる。
これが西洋だと大きく異なる。
日本で言うところの耳垢は英語では「earwax」と
言う。
イアーワックス、つまり「耳のワックス、耳のロウ」
である。
耳のロウ!
垢とロウでは大違いである。
片や排除が原則である老廃物、片や潤滑材であ
る。
同じものでもこれほどかけ離れているとは意外で
ある。
西洋では、耳の穴に溜まるものは耳の穴を保護す
るものと考えていて、悪いものとは思っていない。
従って日本のように、せっせと取り除きはしないそ
うだ。
これは日本ではちょっと出てこない発想である。
そしてこの考え方は医学的にも正しい。
西洋人はこうしたことを大昔から知っていたのだろ
うか?
医学的検証の上で知り得たことなのか、それとも体
験を通して掴んだことのか?
それにしても「耳のロウ」とは洒落た言い方である。