ジョージ・シアリング氏は、写真や映像をみる
といつも微笑んでいる。(以下敬称略)
これは営業用のポーズではなく普段から朗ら
かな人だったようだ。
これは世界のトップ・ジャズ・カメラマンの阿部
克自が記しているエピソードである。
シアリングの自宅での様子を撮影に行った時
のことである。
阿部は自宅のピアノを弾いているシアリングを
撮ろうとカメラを構えた。
シアリングはご機嫌でピアノを弾き始めた。
この時、阿部は驚くべきものを見てしまった。
ピアノの譜面台に楽譜が載っているではないか!
えぇ~!?シアリングって生まれながらの盲目
じゃなかったのか?
だが、譜面台には譜面が載っている。
これは一体どういうことなのか?
いや、ひょっとしたらシアリングは本当は目が見
えるのでは?
そんなはずはない。
でも、どうして?
阿部は撮影をしながら混乱してしまった。
どうしても気になった阿部は思い切って家人に尋
ねてみた。
すると家人は笑ってこう答えた。
「あぁー、あれね。あれはジョージの悪戯なの。あぁ
やって人をからかっているの」
なんということだ。
これはブラックユーモアか?
それとも身を切るギャグというものか?
ジョージ・シアリングの音楽には暗さが微塵も無
い。
常に明るく爽やかである。
彼の音楽は彼のキャラクターが作り出していたよ
うだ。
それでは昨日ご紹介したブライアン・トーフとのデュ
オで「ラブ・フォー・セール」をどうぞ。
ちょっと音が割れていますが、演奏は最高です。