不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

ブログにすれば影がさす。

 用事を済ませて家に帰って来た。
 庭をちょっと片付けていると、背後から誰
かから声を掛けられた。
「○○君!」
 ○○君?
 私のことを君付けで呼ぶ人って誰だ?
 学生の頃ならともかく、社会人になってか
ら君付けで呼ばれることは殆ど無い。
 さん付け、呼び捨て、あだ名が大半である。
 滅多に呼ばれない呼び方で呼ばれたためか
私は身構えた。
 誰だ?
 私はゆっくり振り返った。
 そこにいたのは年配の女性だった。
 だが、顔を見ても誰だかわからない。
 誰だ?この人は。
 こういう時は、とりあえず無表情でいるに
限る。
 向こうは、私の表情を見て察したのか、こ
う言った。
「私、Nです」
 Nさん?そう言われてもまだわからない。
 Nさんは続けてこう言った。
「寂しくなっちゃったねぇ~」
 そうか、△△商店のNさんか!
 私に向かって寂しくなった、と言う人は、
私の両親が相次いで急死したことを知ってい
る人なのである。
 これは、普通の人、例えばセールスマンと
かでは知らないことである。
 Nさんは生前の母とも仲が良かった人だ。
 しかもNさんの長女は私と小中学校の同級
生である。
 それで私のことを君付けで呼ぶのか!
「私、今年民生委員をやっています。用事が
あったら言ってね」
 Nさんは、お隣のKさんに用事があって来
られ、ちょうど庭先にいた私に声を掛けたよ
うだ。
 Nさんといえば、当ブログの先日の記事
書いたばかりである。
 ブログに書いた途端に滅多に会わない人に
会うとは!
 ブログにすれば影がさす、である。

 私は丁寧に挨拶をして別れた。