不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

投票依頼の電話があった。

 家にいたら電話がかかってきた。
「もしもし、○○さんのお宅ですか?」
 その電話の声は、初老の女性で、ぎこちな
いが丁寧なものだった。
 私は、あ~、また電話セールスだな、と思
った。
 最近それくらいの年代の女性がよくセール
スの電話をかけてくるのだ。
 私は気が抜けて電話を切る準備をした。
 それでも、○○さんですか?と尋ねられて
いる。
 それは間違ってはいないので、はいそうで
す、と応えた。
 すると電話の女性はこう続けた。
「市会議員の△△がいつもお世話になってお
ります」
 市会議員の△△?
 セールスの電話ではないのか!
 ここで私の電話対応はスイッチが切り替わ
る。
「はい、はい」と急に愛想がよくなる。
 人によって対応を変えるとは人としてどう
かと思う。
 だが、ここは忍法世渡りの術を使うしかな
い。
 市会議員の関係者・支援者≒町内会の古い
顔、有力者もしくはそれに関係する人だから
である。
 電話をかけてきたのは、ただのオバちゃん
かと思っていると、実は町内会の役員の奥さ
んだったりする。
 ここは丁重な対応が必要だ。
 軽くあしらったら後が怖そうだ。
「○○さんとこへ電話したら、そりゃ横柄な
口の利き方だったわよ」とか言われれでもし
たら、○○は横柄、と言う評判が町内中に広
まる可能性もある。
 私は世間から特別にによく思われたいとは
思わないが、悪く思われたくもない。
 電話の声は続く。
「今回の衆議院選挙に立候補しています××
は、大変厳しい闘いとなっております。何卒、
御支持の方をよろしくお願いします」
 そりゃ、そうだろう。
 ××はJ党の議員である。
 厳しいどころではないだろう。
 私はその訴えに対し「はい、わかりました」
と爽やかに応えた。
 私は、そう応えたが××議員に投票する予
定はまるで無い。
 私は嘘をついたことになるが、これも忍法
世渡りの術である。