午後3時、私はパソコンを操作していた。
お隣にどなたか来られたようだ。
玄関口での話し声が小さく聞こえる。
男性の丁寧な話し方だ。
1月2日である。
正月早々、セールスなのか?
熱心なことだなぁ。
それからすぐ、足音が我が家に近づいてきた。
あの男性のもののようだ。
今度は我が家なのか?
どこの誰だ?
私は、平板な物言いで出迎えた。
その男性は市会議員のSさんだった。
ピカピカの紺のスーツに赤いネクタイである。
Sさんは、当町内で推している議員である。
私は一昨年来、ほんの少しだけSさんと接触がある。
Sさんは、このあたりの支持者のお宅を回っておられ
るようだ。
そうか。
私も支持者の一人としてカウントされているのか。
Sさんは、にこやかに新年の挨拶をされている。
ここは、私も応えなければなるまい。
私は可能な限り丁重に挨拶を返した。
正月2日から、もう支持者回りか。
私などランクの低い支持者なのだろが、そんな者にも、
こうして一軒ずつ歩いているようだ。
これは、大変だなぁ。
正月気分を味わってもいられなさそうである。
市民の監視が厳しく、僅少差で当落が分かれる市議
選である。
のんびりとはしてはいられないのであろう。
私はS議員の背を見送り、パソコンに戻った。
朝顔は、この日は1個咲いていた。