私が幟立てから帰宅してから程なく、空は雲が増
え始めた。
灰色の雲ばかりとなり、いつでも降りそうな気配に
なった。
そして11時過ぎには霧雨が降り始めた。
あぁ~、やっぱり今年もか。
当地のお祭りは雨がお約束である。
雨は霧雨のままで1時間ほど降り、止んだ。
午後は曇り空が優勢で、時折隙間に青空が見えた。
雨は未明ごろから再び降り始めた。
小雨である。
よく日曜日は、本祭である。
昨夜から雨は同じ調子で降り続いている。
小雨なので、まだましな方である。
土砂降りだったり、台風並に風が吹いたりというのが、
例年の当地のお祭りの天候である。
11時、電話がかかってきた。
「町内のINですが」
INさんか。
今年のお祭りで私が属するグループのリーダーである。
「今日の1時、集会所に集合、わかっていますか?」
おぉ。念押しの電話かぁ。
「忘れてました!」とか言ってすっとぼけてサボるのを
予め阻止する策である。
一度役を引き受けると了承したのなら、後は逃さないぞ、
という意思表示でもある。
INさんは、祭典長の指示で電話をグループのメンバーの
一軒一軒にかけておられるのだろう。
「はい、わかっています!」
私は出来るだけ爽やかにそう応えた。
内心とは、真反対である。
これも忍法・世渡りの術である。
~続く~