当市の市会議員選挙は、一種の熱狂がある。
それは少しでも気を抜くと、当選できないからだ。
「選挙だったら、そんなの当たり前だ」と言われる
かもしれない。
だが、当地ではそうなる風土があるのだ。
今回の市議選でも現職3人が落選した。
当市では、任期中によろしくない評判がたつと、
次の選挙ではほぼ確実に落ちるのだ。
「陳情を聞いてくれない」「態度が偉そうになった」
「暮らしぶりが派手になった」といったことである。
それまで、どんなに権勢をふるっていようとも落
ちる。
市議会のボス、と目される議員でも落ちる。
「そうは言っても、推している町内会の人が入れる
から通るのでは?」と思われるかもしれない。
しかし、そうはならない。
その町内の人も入れないのだ。
表向きは「入れますよ」と言っておきながら、入れ
ないからだ。
選挙の手伝いに駆り出された人でも入れない。
選挙事務所に詰めていた人でも入れない。
それも棄権はせずに他の候補に入れてしまうのだ。
そして落ちてから「それ見たことか」と溜飲を下げ
るのである。
そんなことをしたら、自前の議員を失うことになり自
分の町内に利益誘導される機会を逸することになる。
だが、そんなことよりも、嫌な奴を議員にしておくこ
との方がストレスが溜まるのだ。
それだったら、落としてしまうというわけである。
これをやられては、候補者はたまらない。
必死になって当然である。
そのため選挙がより一層熱を帯びるのである。